内容説明
世界の涯てへ。ことばのテロルは向かう。暴力としての言語。事件としての書物。機械仕掛けの俳優。行動する観客。鏡の引力、円環の迷路、仮面、変身、地獄、夢、愛。ボルヘス、アルトー、ル=クレジオ、…と縦横無尽に世界の謎を解読、来たるべき書物の世界を開示する。
目次
暴力的詩論
作家論1―日本文学篇
塚本邦雄論
手毬唄猟奇
作家論2―外国文学篇
映写技師を射て―映画論
サーカスの政治学
迷路と死海(抄)―演劇論1
臓器交換序説(抄)―演劇論2
事件としての書物
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
7
短歌や俳句という定型から始まった寺山の表現は、その定型からいかに自由であるかという方向へと向かっていく。その思考過程が、著作集5巻に収録された文学、演劇論から理解できる。しかし、定型からの自由とは、単にその形式の破壊のことを言っているのではない。形式以上に、詩や文学、そして演劇が持つ精神をより開放することを目指しているのだ。その結果として、例えば、街そのものをステージとする、天井桟敷における市街劇という発想へと開花していく。過激であり、挑発的である寺山の表現には、芸術に対する誠実な想いが込められている。2010/12/05