内容説明
一滴の水も一片の雲もみな妖怪。天狗、幽霊、コックリさんから、宇宙旅行!?の話まで、東洋大学創立者にして元祖妖怪博士の気宇壮大な思想を一冊に凝縮。
目次
1 迷信に立ち向かう(妖怪研究の結果―一名、妖怪早わかり;妖怪玄談コックリの事;天狗論)
2 真の不可思議(真怪(抄)
幽霊論―『妖怪学講義』より
余の宇宙観―『奮闘哲学』より)
3 星に遊ぶ―円了のユートピア(星界想遊記;哲学堂案内;哲学上における余の使命)
著者等紹介
井上円了[イノウエエンリョウ]
1858年(安政5年)‐1919年(大正8年)。哲学者、教育者、仏教者。新潟県、真宗大谷派慈光寺に生まれ、東本願寺より奨学金を得て、東京大学哲学科に入学。諸学の基礎を哲学に定め、1887年哲学館(現、東洋大学)を設立。また東京都中野区に現存する哲学堂を建設する。啓蒙的な観点から妖怪を研究、全国各地で講演活動を行い、「妖怪博士」「お化け博士」として親しまれる。『奮闘哲学』、『仏教活論』、『心理摘要』、『妖怪学講義』等、多岐にわたる膨大な著作がある。大連で講演中に倒れ、61歳で逝去
竹村牧男[タケムラマキオ]
1948年東京生まれ。東京大学文学部印度哲学科卒業。専攻は仏教学(大乗仏教思想)。現在、東洋大学文学部教授。2009年より学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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大臣ぐサン
1
近代妖怪学の祖でもある大哲学者、井上円了。妖怪学を志すものにとっては避けては通れないお化け博士井上円了先生だが、現代は著書を手に取ることが意外と難しい。井上円了先生はよく「妖怪を否定するために妖怪研究を始めた」と説明されるが、文章を読めば、この人がどれだけ妖怪が好きなのかがわかる。円了先生は妖怪を確かに認めている。ただし、人間の誤解や迷信によって生まれる誤怪・偽怪や仮怪を見極め、真の妖怪、真怪を見定めるべしと教えている。哲学の観点から妖怪を観察する円了先生の研究は改めて発展させるべき研究である。2021/01/08
青汁
0
妖怪が出てくるものは大抵不思議だね、みたいな感じで終わるがこの本は科学的に論じており新鮮だった。2014/12/04
ソクラテスくん
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実はすごかった円了博士!言葉こそ洗練されていないが、士の哲学は完成されており、またその端緒としての妖怪研究も確かな論理性と情熱によって生み出されている。2012/02/29
こひた
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妖怪を哲学しようという井上円了の格闘。全国の妖怪やこっくりさん、天狗にフィールドワークで対し、当時庶民の現実を支配していた迷信に真理での啓蒙を図っている・・・らしいのだが、こっくりさんだけで44節に分けて論じているのは世紀末オカルト学院的愛を感じてしまう。「オカルトなんて大っ嫌い!」2012/02/24