出版社内容情報
《内容》 IFCPC(International Federation of Cervical Pathology and Colposcopy)で設定されたコルポスコピーの新分類について日本婦人科病理・コルポスコピー学会では慎重に検討し、その日本語訳と所見に対する意見の統一がえられ,新所見分類を採択した.本書はこれに基づき,編集委員が持ち寄った多数の写真のうち定型例49個を厳選し解説を加えた図譜である.巻末には機器の紹介も収載しており,婦人科医必携の書として是非おすすめする.序 コルポスコピーが子宮頸部病変の診断法として,1925年にドイツのHINSELMANNによって開発されて以来,SCHAUENSTEINやNAVRATILらのドイツ学派がこれを継承したが,当時,アメリカではあまり普及しなかったようである.一方,細胞診はその3年後の1928年にPAPANICOLAOUにより導入され,今日ではこれらは初期頸癌や異形成の検出には必須の検査法となっている. コルポスコピー所見に関しては,HINSELMANN分類のほか,WESPI分類やGLATTHHAR-MULLER分類などが提示され,わが区にでも,増淵-御園生分類(1958年)や栗原分類(1971年)などがみられる.その後,1975年にInternational Federation of Cervical Pathology and Colposcopy(IFCPC)の用語委員会より新コルスポスコピー所見分類が示された.そして当時の日本コルポスコピー研究会において,その日本語訳がなされ,「コルポスコピー標準図譜」が刊行された.これが現在までわが国で用いられてきた分類である.その後,さらに本書の「新コルポスコピー所見分類の成立について」の項に記されているような経緯で,1990年,IFCPCにおいて新分類が設定された.これに応じて,日本婦人科病理・コルポスコピー学会のコルポスコピー用語検討委員会での慎重な検討と学術集会における2回のシンポジウムを経て,それらの日本語訳と所見に対する意見の統一をみるに至った.なおこの分類と用語については,日本産科婦人科学会でも合意が得られ,今後,わが国で採用されることになった. このたび,編集委員が持ち寄った多数のコルポスコピーの写真のうちより,定型例を選定し,初版の図譜とも関連を持たせながら,解説を加えた図譜として出版する運びとなった.ここに編集に当たってご尽力下さった各位に感謝するとともに,わが国におけるコルポスコピーの益々の発展を願う次第である.1994年3月1日監修 杉浦 甫矢嶋 聰山辺 徹初版の序 本書は,1975年International Federation for Cervical Pathology and Colposcopy(IFCPC)において公示された英文の新コルポスコピー所見分類の用語と定義を日本コルポスコピー研究会が邦訳するとともに,本会としての公式解釈を附記し,この定義に沿ったコルポスコピーの標準的所見をカラー写真で示すべく日本コルポスコピー研究会によって計画されたものである. 本書は,各編集委員の手元に保存されている貴重な症例と,そのコルポスコピー写真を多数集め,数回にわたる討議を重ねるなかで完全な合意をえたもののみを収録したものである. 初期子宮頸癌の診断法としてコルポスコピーが世界的に急速に普及しつつある現在,本書を発刊することはきわめて時期をえたものと考える.また本書によりIFCPCの所見分類と名称および定義が正しく理解され,わが国におけるコルポスコピーの普及と発展に寄与できることを切に念願する次第である.1980年7月監修 栗原操寿天神美夫野田起一郎 《目次》 目次New Colposcopy Terminology(新コルポスコピー用語) 6新コルポスコピーの所見分類の成立について 7新コルポスコピーの所見分類(ローマ分類)と旧コルポスコピー所見分類(グラーツ分類)の相違について 8新コルポスコピーの所見分類の解説 9正常所見 13異常所見 16浸潤癌所見 26不適例 28その他の非癌所見 28旧コルポスコピー所見分類 37旧コルポスコピー所見分類の解説 38コルポスコープ紹介 41あとがき 45
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