新心電図マニュアル (新版)

新心電図マニュアル (新版)

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  • サイズ B5判/ページ数 567p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784498037120
  • NDC分類 492.12
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 まえがき  オランダの生理学者EINTHOVENは,心筋の電気的興奮によって発生する電流の記録に成功し,その波形を心電図と名付けた.その後,心電計の発達と臨床医学への応用が進められ,心電図は循環器疾患の臨床を飛躍的に発展させる基礎となった.心電図の発見以来,すでに百年近い年月が経過している現在でも,最重要の診断法としての地位に微動だにしない.  心電図は,最も基本的な診断情報であり,臨床医学と関わりをもつ立場の者にとって,その判読は必須の知識であり,ごく日常的に活用できるレベルまで理解しておく必要がある.にもかかわらず,残念ながら心電図は,いまだに難しいものとして敬遠される傾向がある.現在の医療教育カリキュラムでは,心電図の教育に提供される時間は極めて少なく,心電図の実質的な理解は,卒業後の実地臨床を通じて修得していくしかない.もし仮に,臨床研究の場に循環器の専門医を欠くとしたら,心電図が充分に読みこなせないまま,臨床医としてスタートしなければならないだろう.  心電図の曲線は,きわめてシンプルな波形で構成されている.フレの大きさ(振幅),幅,フレとフレとの間隔など計量的情報と,波形の基本的変化のパターン認識により得られる情報とを含んでいる.判読に慣れさえすれば,日常の臨床で遭遇するケースは,よほど複雑な例でない限り,診断はそれほど難しくない.  心電図の教科書または解説書は,すでにおびただしい数が出版されている.それぞれ,著者の工夫のほどがうかがわれるが,どの本を選択しても,またその本を通読し得たとしても,なかなか心電図が読めるようにならないのが現実だろう.  編者は,心電図の読み方のトレーニングに語学の学習法を応用することを思いつき,本書「心電図マニュアル」の初版を出版した.すでに15年前のことである.語学の学習において,最も基本的で大切なことは,必須の単語をできる限り多く記憶し,また必要に応じて単語の意味・使い方などを確認することだろう.特に,未知の単語に遭遇した場合には,その都度何回でも繰り返して辞書をひき記憶することが,語学力のステップアップにつながることになる.  本書のねらいは,初心者(学生など)にとっては手軽な辞書的役割を果たし,すでに心電図判読に必要な基礎的知識を有するもの(研修医,実地医家)には,知識の整理,再認識に役立つ便覧,データブックとしての性格を備えた解説書である.  本書の試みは,幸いにも好評を頂戴し,4年後には改訂版を出すこともできた.改訂版でも,初版の体裁,辞書・データブックとしての特徴を堅持し,その間の心電図学の進歩に応じて内容の充実をはかり,解説や説明図もupdateなものに改変した.  最近の臨床医学の進歩は目をみはるものがあるが,診断法として定着している心電図にも新知見がどんどん加わり,本書の改訂版に盛り込んだ項目だけでは,充分に対応できないのが現状といえる.本書が,心電図を理解するためのminimum requirementを備えたマニュアルとしての役割を充分に果たすためには,大幅に内容を改める必要があると判断し,「新心電図マニュアル」の出版に踏み切ることにした.  本書を企画するにあたって心がけたことは,もともとのねらいである実用的なガイドブックとしての性格を崩さずに,しかも最先端情報をもれなく収載することである.執筆は前版にこだわらず,それぞれのテーマ毎にベストと考えられる方にお願いし,また編集メンバーも一部変わるなど,名実ともに内容が一新された.  本書には,心電図のABCから最新のテーマまで,ほぼ漏れなくとりあげたつもりである.執筆者には,可能な限り統一されたスタイルで解説をお願いし,できるだけ簡明にしかも平易な表現での記載をお願いした.図・表などを多用し,目で見る要素を重視したのも本書の特徴である.本書には,心電図を理解するために必要な項目は網羅したつもりである.実用的要素を重視してはいるが,そのレベルは決して低くない.本書1冊を手元においていただき,折にふれて手にとってご覧いただくだけで,心電図の判読に必要な知識は吸収できる筈である.  最後に,本書にご執筆いただいた各位,並びに編集・制作に絶大な協力をいただいた中外医学社荻野邦義,森本俊子両氏に,改めて心からお礼を申し上げたい. 1994年11月 前田如矢 初版のまえがき  心電図の分野に限らず,学習法には種々の方法があるが,もっともオーソドックスな方法は,いわゆる教科書としての内容と体裁をそなえた本をまず通読することである.近年心電図に関するテキストブックは,洋の東西を問わず,多数出版されているが,1度や2度位,1冊の本を通読しても,すぐに心電図が読めるようになるものではない.また,かなりの頁数のものを1頁目からよみはじめ,最後の頁までよみこなすことは実際には大変なことである.そこで最近比較的よく出版されているのか,Q&Aやcase study方式のもので,典型的なパターンを示す実例をみることにより,学習するという体裁で書かれたものである.しかし,心電図の初心者が読み方になれていない者が後者にとりくむ場合には,ある程度の基礎的知識がないと,容易に理解できるものではない.  編者は,心電図の読み方のトレーニングに語学の学習法を応用することを思いついた.語学の学習においてもっとも基本的で大切なことは,その学習の目的(例えば日常会話,作文,文章の読解など)に応じて必須の単語を少しでも多く記憶し,その意味を充分に理解することである.1つの単語は,ただ1回その意味を教えられただけで,完全に自分の身につくことは稀である.むしろ,自分の知らない単語に遭遇した場合には,そのたびに何回でもくり返して辞典をひいて記憶することが大切である.  本書は,初心者(学生)にとっては手軽にひける辞典的役割をはたし,すでにある程度心電図判読に必要な基礎的知識のあるもの(研修医・実地医家)には,知識の整理,再認識に役立つ心電図の便覧,データブックとしての性格をそなえた解読書を目標として企画した.  心電図診断に最低必要と考えられる100項目について,波形の特徴,心電図上の鑑別,臨床との関連事項などを主体として,その内容はできるだけ簡明に記載することを執筆の基本方針とした.  各執筆者には,可能な限り統一されたスタイルの記載,新しい考え方や表現などの解説をお願いしたが,執筆者が多く,また多項目にわたるため,若干内容の重複,記述の簡略化による説明の不足,各機関の心電計や記録紙の相違による心電図の不統一などがあり,はたして充分に読者の期待にそうことができたかどうか一抹の不安がある.  本書の100項目は,はじめから1日1~2項目位ずつよんでいただいてもよく,また気のついた頁,その日にたまたま経験した症例に関係のある項目をよんでいただいてもよい.以上のプロセスを反覆することにより,一応心電図の基礎的地域を理解することができると思う.本書が,心電図判読のためのトレーニングの一助になれば幸いである. 1979年2月 編者    《目次》 目次 基礎知識と正常心電図 1.心臓の興奮伝導系 1 2.心電図の誘導法 4 3.心電図の基本波形 10 4.P波 12 5.QRS 15 6.ST-T波 19 7.U波 24 8.PR(PQ)間隔 26 9.QT間隔 30 10.心電気軸 32 11.移行帯 35 異常心電図 12.心房の異常(1)左房負荷 37 13.心房の異常(2)右房負荷 41 14.心房の異常(3)両房負荷 45 15.心室肥大(1)左室肥大 47 16.心室肥大(2)右室肥大 51 17.心室肥大(3)肺性心による右室肥大 55 18.両室肥大 58 19.低電位差 61 20.電気的交互脈 67 21.心筋梗塞 72 22.広汎な前壁梗塞 82 23.側壁梗塞 88 24.下壁梗塞 92 25.非Q波心筋梗塞 99 26.右室梗塞 104 27.狭心症 109 28.無症候性心筋虚血 118 29.ST-T波変化 125 30.再灌流療法による心電図変化 131 31.鏡像的現象 143 32.異常U波 146 33.運動負荷試験 153 34.その他(薬物など)による負荷試験 163 35.S1S2S3パターン 171 36.遺伝性QT延長症候群 174 37.不整脈のみかた 181 38.洞頻脈 188 39.洞徐脈 193 40.洞不整脈 197 41.ペースメーカー移動 202 42.期外収縮 204 43.融合収縮 211 44.心室内変行伝導 214 45.心房細動 216 46.心房粗動 220 47.発作性上室性頻拍 224 48.早期興奮症候群 230 49.発作性心室頻拍 239 50.Torsades de points 244 51.心室細動・心室粗動 249 52.洞房ブロック・洞停止 253 53.房室ブロック 258 54.心室捕捉 266 55.補充収縮・補充調律 271 56.ヒス束心電図 279 57.右脚ブロック 287 58.左脚ブロック 291 59.ヘミブロック 294 60.三枝ブロック 298 61.心室内伝導障害 304 62.回帰収縮 309 63.副調律・副収縮 313 64.Sick sinus syndrome 316 65.ADAMS-STOKES症候群 320 66.ペースメーカーによる心電図所見 324 67.心弁膜症(1)僧帽弁膜症 333 68.心弁膜症(2)僧帽弁逸脱症 339 69.心弁膜症(3)大動脈弁膜症 341 70.心弁膜症(4)連合弁膜症 346 71.先天性心疾患(1)心房中隔欠損 350 72.先天性心疾患(2)心室中隔欠損 353 73.先天性心疾患(3)動脈管開存 356 74.先天性心疾患(4)肺動脈狭窄 358 75.先天性心疾患(5)FALLOT四徴症 364 76.先天性心疾患(6)EBSTEIN奇形 369 77.肥大型心筋症 374 78.拡張型心筋症 382 79.二次性心筋疾患 389 80.心筋炎 395 81.心膜炎 401 82.右胸心 408 83.肺性心 412 84.肺塞栓 420 85.電解質異常 425 86.薬物による心電図変化 435 87.高血圧 444 88.内分泌疾患 451 89.脳血管障害 460 90.心臓神経症 463 91.胸郭変形と心電図 466 92.外科手術(適応)と心電図 472 93.妊娠と心電図 480 94.スポーツマンの心電図 483 95.小児の心電図 486 96.老人の心電図 491 97.ホルター心電図 496 98.体表面心臓電位図 504 99.Late potential 520 100.電気生理検査 527 付1)心電図に関する診断基準 536 2)心電図の正常値 549 索引 562

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