精神科処方ノート (2版)

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  • サイズ B6判/ページ数 341p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784498029576
  • NDC分類 493.72
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》  精神科診療で診る疾患,症状に対する治療方針と処方の実際を簡潔かつ具体的に示したベッドサイドのためのハンディな手引き書である.今日の精神科領域における有効で安全な薬物療法の指針のスタンダードを示したもの.その後登場した薬剤なども解説した改訂版.
改訂版 序
 「精神科処方ノート」の初版を上梓してから2年近くが経過した.この2年間は新規の抗精神病薬や抗うつ薬に関して多くの臨床医が使用経験を重ねた期間と言えよう.そこで非定形抗精神病薬の統合失調症に対する処方例や,うつ病に対するSSRIやSNRIの使用例を中心に改訂を加えたのが本書である.
 本書の姉妹編である「精神科治療薬ハンドブック」は既に改訂3版を2002年2月に出版している.最新の治療薬情報が記載されているが,それらの薬剤を臨床現場でいかに効果的かつ安全に用いるかの臨床の知が本書に集積されるよう試みたつもりである.
 なお初版で書評をお願いした川崎医大渡辺昌祐名誉教授が,細部にわたるまでチェックされ極めて有益な示唆を下さった.改訂に際して参考にさせて頂いた部分も多く,渡辺名誉教授に心から御礼申し上げたい.
  2003年1月
    上島国利

 私共は1999年に向精神薬の総てを解説した「精神科治療薬ハンドブック」を出版した.便利な手引き書として,多くの臨床医が使用されていると聞く.その姉妹篇として,精神科領域の疾患や,精神症状の治療について,それぞれの疾患や症状の簡単な解説と,その薬物療法の実際を処方例を中心に記述したのが本書である.
 各疾患に適応を有する薬剤を可能な限り単剤で用いるのが私共の治療の原則である.しかしながら事情によっては,正式な適応がなくても日常臨床で多くの治療者が用いて有効かつ安全な薬剤については,処方実例が記載されているが,「保険適応外」の断り書きがそえられている.
 有効で安全な薬物療法を施行する際の1つの指針として本書が何らかのお役に立つことを願っている.
  2001年3月
    上島国利    

《目次》
目 次
I.向精神薬の合理的な用い方〈上島国利〉 1
 1.薬物療法の開始に際して…  2
 2.薬物療法の実際…  3
II.精神障害とその治療 5
 1.統合失調症(精神分裂病)…〈井口 喬〉  6
  A.破瓜型統合失調症…  9
  B.緊張型統合失調症… 12
  C.妄想型統合失調症… 15
  D.統合失調・感情障害(分裂感情障害)… 18
  E.急性期統合失調症… 21
  F.慢性期統合失調症… 24
 2.躁うつ病(気分障害)…〈工藤行夫〉 27
  A.単極性うつ病… 31
  B.軽症うつ病… 34
  C.仮面うつ病… 37
  D.老年期うつ病… 40
  E.児童・思春期のうつ病… 43
  F.難治性うつ病… 46
  G.双極性うつ病… 49
 3.不安障害…〈太田有光〉 52
  A.パニック障害… 54
  B.全般性不安障害… 58
  C.対人恐怖症… 61
  D.強迫性障害(強迫神経症)… 65
  E.外傷後ストレス障害(PTSD)… 68
  F.ヒステリー(解離性障害)… 71
  G.心気症… 74
 4.心身症…〈大坪天平〉 76
  A.過敏症腸症候群(IBS)… 78
  B.過換気症候群… 81
 5.人格障害…〈平島奈津子〉 84
  A.境界性人格障害… 86
 6.器質性精神病・症状性精神病…〈岡島由佳〉 89
 7.痴呆…〈磯野 浩〉 95
  A.アルツハイマー病… 97
  B.血管性痴呆… 100
 8.知的障害(精神遅滞)…〈野嵜善郎〉 103
 9.アルコール依存症…〈三村 將〉 106
  A.急性期… 108
  B.慢性期… 111
  C.振戦せん妄… 113
 10.薬物による精神障害…〈中込和幸〉 115
  A.覚せい剤中毒… 118
  B.有機溶媒中毒… 122
 11.産褥精神病…〈宍倉久里江〉 125
  A.産後うつ病… 128
 12.摂食障害…〈平島奈津子〉 131
  A.神経性無食欲症… 133
  B.神経性大食症… 136
 13.睡眠障害…〈巽 雅彦〉 139
  A.神経質症不眠症… 143
  B.夢中遊行症(夢遊病)… 146
  C.夜驚症… 150
  D.悪夢… 151
  E.ナルコレプシー,周期性傾眠症… 154
 14.小児科および青年期の精神障害…〈野嵜善郎〉 158
  A.注意欠陥/多動性障害… 160
  B.チック障害… 162
  C.抑うつ障害… 165
  D.不登校… 168
 15.てんかん…〈稲本淳子〉 170
  A.全般発作… 172
  B.部分発作… 175
  C.てんかん発作重績状態… 178
III.精神症状とその治療 181
 1.興奮状態…〈坂井俊之〉 182
  A.意識障害を伴う興奮状態… 182
  B.緊張病性興奮… 185
  C.躁性興奮… 188
  D.てんかんによる興奮… 191
  E.知的障害にみられる興奮… 194
 2.幻覚…〈小山田静枝〉 196
  A.幻聴… 196
  B.幻視… 199
  C.その他の幻覚… 200
 3.妄想…〈小山田静枝〉 201
  A.分裂病の妄想… 201
  B.分裂病以外の疾患の妄想… 203
 4.感情鈍麻,無関心,意欲の減退…〈小山田静枝〉 206
 5.昏迷状態…〈坂井俊之〉 209
  A.緊張病性昏迷… 209
  B.うつ病性昏迷… 211
  C.ヒステリー性昏迷… 212
 6.躁状態…〈宍倉久里江〉 213
 7.抑うつ状態…〈宍倉久里江〉 216
 8.不安,緊張,焦燥…〈宍倉久里江〉 219
 9.強迫症状…〈宍倉久里江〉 222
 10.恐怖症状…〈宍倉久里江〉 225
 11.あれこれ身体の症状を訴える(心気症状)…〈吉邨善孝〉 228
  A.神経症の心気症状… 230
  B.その他の疾患の心気症状… 233
 12.意識障害…〈山田光彦〉 236
  A.せん妄… 238
  B.錯乱,アメンチア,もうろう状態… 241
 13.けいれん…〈稲本淳子〉 244
 14.夜ねむれない…〈岡島由佳〉 247
 15.体中の痛みがとれない(慢性疹痛)…〈岡島由佳〉 251
 16.物忘れがある…〈磯野 浩〉 254
IV.精神科救急,ICU〈岡島由佳〉 257
 1.精神科救急--総説… 258
 2.ICU症候群… 261
V.薬物の副作用〈渡辺雅幸〉 265
  A.抗精神病薬… 266
  B.抗うつ薬… 272
  C.気分安定薬… 276
  D.抗不安薬,睡眠薬… 278
  E.抗てんかん薬… 282
附 向精神薬一覧〈尾鷲登志美 上島国利〉 285
索引 … 326