出版社内容情報
《内容》 失語症など大脳の高次機能の障害について,できるかぎりわかりやすく解説した神経心理の入門書である.日常脳血管障害などの脳損傷患者の診療にあたっている医師やコメディカルスタッフを意識し,包括的な知識を単にまとめるのではなく,神経心理学的な症状のみかた,診察のしかた,そこに秘められた病態など,日々の診療に必要な知識に焦点を絞って解説した.教科書的な記述にとどまらず,日常診療に応用できる入門書として広くお勧めする. 《目次》 目 次第1章 失語 1 失語症の定義 1 失語と診断すると 1 失語の原因疾患 2 失語の診察の仕方 3 こういった検査で何がわかるのか 8 失語の分類 11 古典的分類による失語症 14 古典的分類で説明困難な例 19 失語をめぐるいくつかの話題 22第2章 読みと書字の障害 27 読みの障害(失読)について 28 書字の障害(失書)について 33第3章 失行 40 失行とは何だろう 40 失行の診察の仕方 41 失行の分類 46 失行をめぐるいくつかの話題 49第4章 失認 53 失認の定義 53 視覚失認の検査の仕方 53 なぜそのような検査をするのか 54 統覚型視覚失認(apperceptive visual agnosia) 55 連合型視覚失認(associative visual agnosia) 57 視覚失語 58 連合型失認と視覚失語の関係 59 大脳の損傷による色の障害 60 相貌失認 61 地誌的障害 62 聴覚失認 63第5章 半側空間無視 67 半側空間無視とは何か 67 半側空間無視の検査法 68 半側空間無視の責任病巣 70 半側空間無視はどのような機序で起きるのか 71 いくつかの問題について 73第6章 病態失認と運動無視 78 病態失認 78 Anton 症候群 80 運動無視 81第7章 視覚失調 84 Balint症候群 84 Balint症候群を呈した症例 84 視覚性運動失調の定義 86 視覚性運動失調の診察の仕方 86 視覚性運動失調の機序 87第8章 体性感覚の障害 89 体性感覚野すなわち中心後回の損傷による症状について 89 どういった検査をするのか 90 中心後回ではどのような感覚障害が起きるのか 92 中心後回の損傷によって起きる運動障害について 94第9章 前頭葉 96 前頭葉の障害によってどのような症状が出現するか 96 前頭葉の機能を調べる検査 97 従来より唱えられている前頭葉の障害によって生じる症状 98第10章 脳梁 102 脳梁の症状 103 脳梁の各部位と症状との対応 108第11章 痴呆 110 痴呆の定義 110 痴呆と診断するには 111 痴呆の診断に用いられる検査 112 痴呆の鑑別診断(うつ状態との鑑別) 115 痴呆の原因診断の進め方 115 痴呆患者における言語の異常 116 slowly progressive aphasia(SPA) 118第12章 記憶 121 記憶障害(健忘症)の定義 121 健忘症候群の簡単な診察の仕方 123 記憶の障害の鑑別診断について 123 記憶検査の種類と特徴 124 記憶における脳内の重要な部位について 129 記憶の分類 131第13章 血管支配領域の違いによって生じる 主に高次機能の障害について 135 内頸動脈 135 前脈絡叢動脈 136 前大脳動脈 137 中大脳動脈 139 後大脳動脈 143第14章 脳機能マッピング 149 PET(ポジロトンCT) 149 脳のMRI(磁気共鳴画像法) -functional MRI(fMRI)について 150おわりに 152索引 154