血液学ハイライト<br> 血栓症

血液学ハイライト
血栓症

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  • サイズ A5判/ページ数 128p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498025806
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 血栓症は最近本邦で増加の一途をたどっているが,その研究の進歩も目覚ましい.本書は血栓症の基礎から臨床までを最新の知見を示しつつ,わかり易く,興味深く解説したものである. まず一時止血栓,二次止血栓の形成と制御,線維素溶解反応とその制御など止血血栓の病態生理を概観し,次に先天性血栓性素因,抗リン脂質抗体症候群,難治性疾患であるDIC,最後に話題の血栓溶解療法の進歩を紹介した. 序 “血栓症”,何とも奇妙な響きを持っている.自分が専門家ぶっている領域でありながら,心筋梗塞や脳血栓そして深部静脈血栓症以外に,この言葉では具体的な病気が頭に浮かんでこないのである.その定義に含まれる集合の要素が多すぎるためなのか,定義が適当でないのか……?  とにかく,図式的には凝血塊が血管を閉塞し,それにより虚血症状などの臨床症状が顕現してきた病態というようには定義できそうである.この図式に関わる因子は血管と血液である.  血液は,栄養分や酸素の補給路として,或いは白血球系,免疫系,ホルモンなどを介し,重要な情報伝達の回路として機能している.しかし,血管壁に存在する細胞は血液の流動性を保ち,また時にはこれを固相に変えるために必要な物質を産生し,放出している.つまり,血管は重要な臓器の一つである.従って血管壁の変化も血液成分同様,血栓症の発現に深く関わっている.  細胞が生きていくための補給路や情報が絶たれることは,その細胞の死を意味する.  人が長生きするためには,この血管と血液のバランスが極めて重要である.もし補給路が永遠に保たれるならば細胞はどのくらい生きられるのであろうか? このように考えてくると,どうも“血栓症”というのは具体的に掴み所がなく,悪性腫瘍のようなグサッとくる衝撃はないが,生命の根源に関わっている気もする.  このような小冊子で小生が,この血栓症について何かを議論できるなどとは考えていません.この本が,何となく血栓症に興味を持っておられる読者が,より詳しく勉強してみようかという際のイントロダクションになれば幸いです.  ただ,紙面が限られているので,話題を限定させていただきました.血栓形成の機序とその制御の解説を第I部として,また第II部では,先天性血栓性素因,播種性血管内凝固症候群と血栓溶解療法を中心に述べました. 1994年5月 坂田洋一    《目次》 目次 はじめに 1 I.止血血栓の病態生理 3 A.ステップ1:一次止血栓の形成とその制御 4 1.血管内皮の障害と血小板粘着 4 a.vWF 5 b.Gp Ib 6 c.血小板粘着 6 2.血小板活性化,凝集反応 8 a.Gp IIb 8 b.Gp IIIa 8 c.Gp IIb-IIIa 9 d.トロンビンレセプタ 10 e.血小板凝集 11 f.ずり応力血小板凝集 12 3.血小板放出反応 15 4.血小板凝集反応の制御 16 a.プロスタサイクリン 16 b.EDRF 17 5.血小板による一次止血栓形成のまとめ 17 B.ステップ2:二次止血栓の形成とその制御 18 1.内因系凝固反応 21 2.外因系凝固反応 21 3.リン脂質相 24 4.フィブリン相 27 5.凝固反応の制御 29 a.アンチトロンビン 29 b.活性プロテインC 32 c.活性プロテインCインヒビタ 35 d.トロンボモジュリン 35 e.外因系凝固インヒビタ 37 C.線維素溶解反応とその制御 40 1.血栓溶解反応 42 a.組織型プラスミノゲンアクチベータ 42 b.プラスミノゲン 45 c.フィブリンによる線溶反応の制御 45 2.阻害因子による血栓溶解反応の制御 48 a.プラスミノゲンアクチベータインヒビタ 48 1)PAI-1によるt-PAの阻害反応 48 2)PAI-1の潜在性 50 3)PAI-1の産生制御 52 b.α2プラスミンインヒビタ 52 3.組織線溶反応 55 a.u-PA 56 b.線溶反応とその制御 57 II.血栓症臨床 61 A.血栓形成 62 B.血栓症の診断 64 C.先天性血栓性素因 65 1.AT III欠乏病 66 a.治療 69 1)臨床的症状の出現していない時期 69 2)血栓症を惹起する恐れのある場合 69 3)血栓症に羅患している場合 70 2.PC欠乏症 70 a.治療 72 3.PS欠乏症 73 4.プラスミノゲン欠乏症 74 a.I型異常症 75 b.II型異常症 75 c.治療 78 D.抗リン脂質抗体症候群 78 1.抗リン脂質抗体の診断 80 E.DIC 81 1.発生期序 82 a.DIC惹起物質の血管内流入 82 b.敗血症など重症感染症に伴う血管壁内皮細胞の血栓惹起活性の増強 83 2.DICの病態 84 a.虚血性障害 84 b.出血性障害 87 c.その他 88 3.DICの診断 88 a.血管内皮障害のマーカー 90 1)血中トロンボモジュリンの測定 90 b.凝固系活性化のマーカー 90 1)トロンビン-アンチトロンビンIII(TAT)複合体 90 2)プロトロンビンフラグメント 90 3)フィブリン形成 91 4)その他 92 c.線溶系のマーカー 92 1)プラスミン-α2PI複合体 92 2)フィブリンの分解 92 3)PAI-1量の測定 93 4.急性前骨髄急性白血病(APL)に併発するDIC 95 5.DICの治療法 97 a.DIC治療法の一例 98 1)治療の大原則 98 2)急性DIC例 100 3)慢性DIC例 100 b.最近の新しい治療薬剤 101 1)AT III製剤 101 2)活性PC 103 3)トロンボモジュリン 103 4)合成抗トロンビン剤 104 5)ヘパリン特に低分子ヘパリンについて 105 6)その他 106 F.血栓溶解療法 107 1.第二世代t-PA 111 2.第二世代scu-PA 111 3.ハイブリッドアクチベータ 112 4.Fb,活性化血小板に対する抗体を利用したPA 112 5.スタフィロキナーゼ 112 文献 113 索引 125

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