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Annual Review免疫 〈2003〉

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  • サイズ B5判/ページ数 290p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784498006669
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 ◆本書は膨大な量の情報の中から,特に注目すべきトピックを選び,その分野の第一人者が内外の文献をふまえて最新の進歩を展望している.
◆文献抄録ではなく,その内容,評価が理解できる.
◆どのような重要な業績,文献があったかを確実にフォローできる.
◆主要文献を網羅しているので,reference sourceとしても極めて便利である.

 作家の故司馬遼太郎は,わが国のバブルの崩壊は第二次大戦の敗戦より長い陰鬱なダメージを日本の社会や経済に与えるだろうと予言し,この世を去ったが,まさに日本は現在,その真っ只中にいるように思われる.中小企業の倒産が衰えず,失業率がじわりじわり上昇し,身近にもリストラの人々を知る.日本の屋台骨を支えてきた大企業の倒産がこれからいくつもあるかもしれないという.
 一方,日本の工業製品も電器製品に代表されるように製造業は国内では空洞化傾向を示し,新興工業国に相当数その場所を移転せざるを得なくなっている.近い将来,右肩上がりのわが国社会を支えてきた自動車産業もそのようになると予測する経済学者も少なくない.為に,人々は世の中の先行きにペシミスティックな空気を感じるのである.
 これらの社会や経済の変化は何なのであろう?大企業を中心に発展してきた,いわば単一化された社会のもろさなのであろうか?単一な社会,経済は強い時には強いが,弱い時にはあっという間に壊れてしまう.強さともろさとは表裏一体である.
 ひるがえって,免疫システムの本態は単一性とは対極をなす多様性にあるわけであり,それが個体を支える基本機構となっているのは我々の知るところである.免疫の事象は多様性をキーワードに日本のこれからの社会の形成にもとても示唆的であるように思われる.
 本編でも過去1~2年間の研究の進展を中心に様々な免疫の事象が紹介されている.今まで,予想だにし得なかった新たなパラダイムを形成しつつあるものもある.例年のことながら,研究と教育に(あるいは診療に)超多忙な各執筆者にご協力をいただいた.今編でも一読することにより,免疫学の最新の知見と今後の展望を知ることができる.各執筆者に心より感謝申し上げる.
  2002年11月
    編者一同
    

《目次》
目 次
I.B細胞
 1.IgMおよびIgAFc受容体の発現と機能  <本多伸一郎 渋谷 彰>  1
 2.BASH/SLP-76ファミリーアダプター分子MISTによる免疫細胞機能制御
  <後飯塚僚>  9
II.T細胞
 1.Th2細胞分化とクロマチンリモデリング  <山下政克 中山俊憲>  17
 2.Th1/Th2分化とpartial agonist  <伊藤 靖>  24
  種々の抗原とヘルパーT細胞のエフェクター機能
III.マクロファージ・抗原提示細胞
 1.抗原提示細胞の機能におけるIL-15シグナルの重要性  <樗木俊聡>  32
 2.外来性抗原のクロスプレゼンテーションとHSP
  <鵜殿平一郎 本間季里 由井克之>  40
 3.TLRによるリガンド認識機構  <黒木由夫 佐野仁美 岩城大輔>  50
 4.アロ免疫におけるDCのtraffickingと役割  <松野健二郎 佐伯隆人>  56
IV.NK,NKT
 1.SOCS1/SSI-1によるサイトカインクロストークの制御と疾患
  <藤本 穣 仲 哲治>  64
 2.NKT細胞糖脂質リガンドによる自己免疫性疾患制御  <三宅幸子 山村 隆>  71
V.サイトカイン
 1.IL-18によるTh1/Th2免疫応答の制御  <善本知広 筒井ひろ子 中西憲司>  78
 2.粘膜免疫におけるTNFとlymphotoxinの役割  <山本正文>  89
 3.サイトカインによる破骨細胞の分化  <宇田川信之 須田幸治 高橋直之>  96
 4.新種のインターフェロンlimitin  <織谷健司>  105
 5.肺クララ細胞10kDa蛋白質(CC10)と免疫病態
  <四十坊典晴 佐藤昇志 大地 貴>  113
 6.造血およびB細胞産生を制御する抑制性アダプター蛋白質Lnk  <高木 智>  120
 7.ERKとp38MAPキナーゼによる免疫調節機構  <緒方正人>  127
 8.Gabファミリーアダプター分子のサイトカインシグナル伝達における役割
  <西田圭吾 平野俊夫>  136
VI.接着,共刺激分子,トラフィッキング,ホーミング
 1.Ig-like receptor分子群による免疫細胞の制御  <高井俊行 中村 晃>  142
 2.B1細胞トラフィッキングとSLEマウスにおけるその異常  <石川 昌>  151
 3.HEVとリンパ球トラフィッキング  <田中稔之 戎野幸彦 宮坂昌之>  160
VII.免疫組織
 p53関連遺伝子による胸腺上皮細胞の機能調節
  <一宮慎吾 百田洋之 近藤伸彦 佐藤昇志>  170
VIII.免疫調節,寛容
 CD4+CD25+T細胞の免疫抑制機構  <清水 淳 坂口志文>  178
IX.感染と免疫
 1.感染免疫におけるIL-15の役割  <松口徹也>  185
 2.感染免疫におけるAPCとサイトカインの役割  <鈴江一友 小安重夫>  194
X.腫瘍免疫,移植免疫
 1.T細胞の認識する肺癌抗原  <竹之山光広 安元公正>  204
 2.免疫系に認識されるグリオーマ抗原  <戸田正博>  210
 3.癌抗原としてのCT抗原  <野口雄司 中山睿一>  218
 4.染色体転座融合蛋白を標的とした癌治療
  <佐藤百合子 井田和功 川口 哲 佐藤昇志>  226
 5.ガングリオシドを標的とした癌の免疫療法  <古川鋼一 上田龍三>  232
 6.HLAテトラマーと癌免疫治療モニタリング  <浅部伸一 池田英之>  241
XI.免疫疾患
 1.Alzheimer病,プリオン病に対する免疫療法  <原田 大 中西勝也 鳥越俊彦>  250
 2.CIS/SOCSファミリーと炎症性疾患  <花田俊勝 金城市子 吉村昭彦>  256
 3.自然流産とその免疫学的機構,関与  <長多正美 鳥越俊彦 佐藤昇志>  265
 4.Wiskott-Aldrich症候群蛋白(WASP)と血小板  <小田 淳 西谷千明 藤田博美>  272
 5.天疱瘡とDsg3ノックアウトマウス  <天谷雅行>  280
索 引  286

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