出版社内容情報
「初めてカニ(あるいはナマコ)を食べた人」という中国語がある。未踏の分野に大胆に挑んだ開拓者を讃える表現だ。中国の改革と開放は、既成の社会主義の概念やしきたりを大きく変えるものだけに、とまどいがあり、抵抗も根強い。国有企業の破産も例外ではない。本書の底流に脈打っているのは、困難にひるむことなく、現実を見据えつつ新局面を切り開く人々への賛歌である。翻訳を終えた今、中国の近代化がこれらの人々により推進されていくのだ、との感が深い。(「訳者あとがき」より)
内容説明
市場経済への転換を図る中国において、カネ食い虫に転落した国有企業の運命は?重慶のある大型工場に下されたまさかの破産宣告!その崩壊から再生への過程を通して、「改革開放」最後の抵抗の“牙城”―国有企業改革を透視。
目次
第1章 最盛期から破産まで(数年前まではカネのなる木;一転してカネ食い虫に ほか)
第2章 破産処理の顛末(破産の申立て;裁判所の対応 ほか)
第3章 破産が残したもの(強烈なショックと警鐘;手を焼いた問題点 ほか)
第4章 「破産効果」と今後の課題