東方選書<br> 契丹国―遊牧の民キタイの王朝

東方選書
契丹国―遊牧の民キタイの王朝

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  • サイズ B6判/ページ数 215p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784497933836
  • NDC分類 222.052
  • Cコード C0322

内容説明

ひときわ異彩を放つ胡族国家、漢人との二元体制を貫いた契丹国の歴史と社会を描く。

目次

1 キタイ〈契丹・遼〉国の興亡(勃興前の契丹;契丹国の成立;耶律阿保機の事蹟;燕雲16州の割取;世・穆・景三代;聖・興・道三代の盛世;遼国の滅亡;カラ・キタイ)
2 キタイ〈契丹・遼〉国の制度と社会(統治の仕組み;契丹・漢二元の官制;騎馬の精強軍団;契丹・漢二元の法;独自の儀式と典礼;シャマンと巫;契丹文字;牧畜と農耕の経済;風俗と習慣;土木建築と美術工芸;契丹と日本;征服王朝か胡族国家か)
3 悲劇の王、倍(倍の生い立ち;父、阿保機の死と倍の譲国;東丹の国都を遼陽に遷す;倍の医巫閭山への隠棲;倍、海に泛び故国を去る;唐都での倍の文人生活;倍と堯骨、兄弟の死;大統、倍の児孫に帰す)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

電羊齋

3
契丹国(キタイ、遼)の通史及び法制度、祭祀、社会経済、文化等を幅広く紹介。本書の出版は1993年と少々古いが、やはり契丹国を知る上でまず読むべき本だろう。個人的には、有名な二元的国家構造、数々の壁画、絵画、遼三彩に代表される豊かな文化が印象的。また著者は、ウィットフォーゲルの「征服王朝論」を、契丹国を中国王朝の系列内に置くものであるとして批判し、その独自の法制度、祭祀の重視、中国王朝の祭祀の排撃等を挙げ、契丹国を中国王朝の系列外の存在、「胡族国家」として位置づけている。一つの視点として参考になる。2015/03/21

韓信

3
契丹国(遼朝)の歴史と社会、制度を俯瞰する概説書。最後まで温存されていた部族制度と、軍政を圧迫し滅亡の一因をつくるほど発達した州県制度、南北両面官や二元法の施行など、漢化しきらず遊牧世界と農耕世界に立脚した二元構造の国家像を平易に解説する。シャーマニズムに基づく遊牧民独自の祭祀の重視と礼教の排斥、法制上の女性の優遇、いまだ解明されぬ契丹文字などの特色は興味深いが、両世界を統合するイデオロギーとして用いられた仏教にもう少し頁を割いてほしかった。法制の復元をした著者の研究に対する自負が色濃くにじむのはご愛嬌。2014/06/09

0
北方民族として本拠地を保ちながら中国内地を支配した最初の王朝、契丹の興亡と文化の研究書。トルコ系民族の西方移動で生じた空間にモンゴル高原から侵入し、周辺の騎馬民族を滅ぼし急速に勢力を拡大して行くと共に、中国風の王朝を開く。驚くべきことは、廃れた筈のシャーマニズムを復活させることで、狩猟・遊牧・農耕等の様々な生業体制を持つ異なる諸民族を一つのものに纏め上げ、政治経済体制・文化を他に例の無い程に多種多様なものにした点だろう。そこに朝貢・冊封関係で文化を結びつけた唐とは違う、ゆるやかで自由な繋がりを感じる。2011/06/02

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