出版社内容情報
民間伝承の宝庫、中国における説話のルーツを探り、政治と説話、俗信仰・儒教・仏教・道教と説話の関係など、中国古代の社会史にまで踏みこみ新しい小説史の構築をめざす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
韓信
1
先秦時代の諸子等に見える挿話などから、漢代を経て六朝期における仏教伝来による変容、独立した文学として説話が成立するまでに焦点をあてた論集。儒教に拘泥しない曹操・曹丕の寛容な政策下で編まれた『皇覧』『列異伝』は宋代の『太平御覧』『太平広記』に相当する類書という指摘は新鮮。説話中の泰山府君が仏教の浸透に従い閻羅となり、仏の下の一神格となっていく変遷も興味深い。採取されたのが仏教側の説話ばかりなので道教側の説話もあれば読んでみたいところだが(胡神の信奉を批判する、という道教側のスタンスも仏教説話で描かれるが)。2021/06/14
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- 和書
- 山狩 光文社文庫