出版社内容情報
奈良で、美の真髄を求めて厨子づくりに没頭する若い仏師の恋の物語。 第3回絵本にっぽん賞/よい絵本選定
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
125
名も無き若い仏師が、厨子を創りあげる物語。絵本からは、奈良の都の人々暮らしぶりや服装、建物が飛び込んでくる。当時は、大陸から伝来した仏教文化が盛んで、多くの仏師がいたという。鍛錬し、美を追求する仏師の力強さや繊細な横顔が素朴な絵柄で描かれる。興味深いのは太田氏の色遣いだ。柔らかさの中に重みがある。鮮やかな色には気品がある。文様からは古の風を感じる。さて、若者が追い求めた美は何処から生まれ、何処にあったのか。空の上か意識の中か。その答えは。玉虫厨子を残した若者の行き着く先は・・。暫し、遠き昔に思いを馳せる。2013/02/09
おはなし会 芽ぶっく
18
6年生ブックトーク授業 教科書掲載本からおすすめ本 子どもたち、まずタイトルが読めない (たまむしのずしの物語)法隆寺(7世紀)に収蔵されている国宝をもとにした創作。仏教伝来からしばらく経った奈良の都が舞台。 若く美しい娘を妻にするため、仏師若麻呂は厨子づくりに挑戦する。より優れたものを求めて、玉虫を追い、美しさの追求へと入れ込んでいく… 『かがやく昆虫のひみつ』も紹介(玉虫繋がり)【第3回 絵本にっぽん賞】 15分2019/12/13
けんちゃん
18
読友さんのご紹介本。国語の教科書に出ていた、とても印象的なお話…と思ったのですが、あれ?こんなお話だったかしら?若麻呂という名前と、玉虫を求めては、厨子に貼っていく…くらいしか記憶になかったので、真剣に読んでしまいました。平安を祈り、仏像を収める厨子の話なのに、何とも哀しいお話、せめて厨子を完成させた若麻呂の魂に救いがもたらされていますように、と思います。2013/02/21
どら母 学校図書館を考える
17
今時の読解力の無い小学生、高学年でも厳しそう。でも美しい絵本なので、ぜひ読んでもらいたい。2020/01/14
☆よいこ
13
「かがやく昆虫のひみつ」中瀬悠太・著写真(ポプラ社)からの関連本。法隆寺に収められた玉虫厨子の物語。仏師である若麻呂は愛するおとめと結婚するために、皆から認められる仕事をして認められなければならない。しかし、精魂込めて仏像を入れる厨子を作るが納得いくものにならない。ある日、虫取りをしていた子供に出会い玉虫の美しさに気づいた。玉虫を捕まえて羽をとり、厨子を飾り始めた。美しさに魅了され、虫を捕ることに夢中になった若麻呂はいつしかおとめのことも忘れはてた。2018/02/28