内容説明
戦争が終った。人間は帰ってきたが、中国大陸へやられたたくさんの馬たちは、ただの一頭も帰ってこなかった。
著者等紹介
加藤多一[カトウタイチ]
1934年、北海道北部の農民の子として生まれる。サラリーマン生活のあと、現在北海道長沼町の農業地帯で文筆業。作品に『草原・ぼくと子っこ牛の大地』(あかね書房・日本児童文学者協会賞)、『遠くへいく川』(くもん出版・赤い鳥文学賞)、『はるふぶき』『馬を洗って…』(童心社・赤い鳥さし絵賞)などがある
早川重章[ハヤカワシゲアキ]
1924年、山梨に生まれる。日本美術学校に学ぶ。自由美術家協会会員となるが1961年退会。アートクラブに所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chimako
15
馬の目は何かをうったえているようだ。テレビで、写真で長いまつげのおおきな瞳を見るといつもそう思う。ホシコは額に星を持つ賢い子馬。12歳のコウの親友になった。売られても帰ってきたホシコ。そして、戦争。田舎の穏やかな村にも戦争は影を落とす。戦争に取られたのは人ばかりではない。命を落としたのも。素晴らしい絵は山梨県立出身 早川重章氏。2013/07/16
千穂
6
額の白い星の形を持つ賢い馬ホシコと少年コウの切ない話。ホシコはコウの言葉も思いも理解できるようだ。コウのもとでしっかり働き楽しい時を過ごすが、長くは続かない。戦争に駆り出されてしまう。人も馬も。そして生きて帰ることはない。お空の上で今もホシコとコウは幸せに暮らしているのかもしれない。2016/01/11
白い雲。。
1
満州から帰った馬は一頭もなかった…。戦死した伯父が満州で馬に乗っていたと母から聞いていたので、すごく身近に感じる。絵が素敵で、文章と合っています。2023/01/11
yesod
1
淡々とした文章の中に、運命的なつながりや友情を感じます。戦争によって引き裂かれ、後を追うように戦地に行くことになったホシコ。両方とも帰ってこなかったけれど、きっとどこかで一緒にいると思いたいです。哀しくて美しいおはなしでした。2012/06/02
うつぼん
0
<図書館>2013/08/12