内容説明
お墓まいりの日は、あったかい日でした。坂元のおじちゃんもきていました。「四月から六年生か、最上級生だね」そういって、さくら子の頭の上に、大きな手をおいてくれました。お墓のそうじをして、ふと、石碑のうしろをのぞいたとき、そこに命日が刻まれていました。三月十五日、それは、さくら子のたんじょう日とおなじ日です。はじめて気がつきました。「はる子おばちゃん、わたしが生まれた日に、亡くなったの?」声をあげそうになったそのことばを、さくら子は、のみこんでいました。どうしてすなおに、いえなかったのか…。
著者等紹介
宮川ひろ[ミヤカワヒロ]
群馬県に生まれる。金華学園教員養成所卒業。新日本童話教室に学んだ後、『びわの実学校』に投稿。赤い鳥賞文学賞他、数々の賞を受ける
こみねゆら[コミネユラ]
熊本県に生まれる。東京芸術大学絵画科、同大学院卒業。フランスに留学し、絵本、人形の仕事を始める。帰国後は日仏の絵本、挿し絵を手がけている
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感想・レビュー
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野のこ
45
偶然にもさくら子さんのお誕生日は私が読み終わった次の日でした。3月15日。絵のほんわかとした雰囲気と丁寧な筆つかいが素敵で、でも女の子やお母さんの思いつめた表情に この物語、気になる!と借りました。私は気づかなくて驚きましたが、良かったです。宮川さんはことばのひとつひとつを大切に文章にしていると思いました。さくら子さんの桜の木に訪れてみたいです。2018/03/14
ぶんこ
40
大きな台風で折れてしまった栗の木。折れた頭のウロに桜の青い芽が出てきました。木の下部分は栗、上部分が桜の木となり『みごも栗』と言われるようになり、子どもが欲しい人が願掛けに来るようになりました。(本当の話と信じて検索したら、何もヒットせず)さくら子さんは、自分の名前の由来を知りたい。お母さんは、さくら子さんとみごも栗を見に行き、近くの温泉で子宝湯に入り話し始めます。さくら子さんが知った由来。それは哀しい話なのか?お母さんの気持ちに近い私にとっても複雑ですが、幸せな話になっていると信じます。2025/05/22
浅葱@
39
自分の秘密に気づいていくこと。時間を経ての打ち明け話。絵本でこのテーマに驚いてしまいましたが、『みごも栗』が先にあったからのラストなのでしょうね。優しいけど、たしかな成長を感じました。静かで深い絵本でした。2014/06/18
杏子
23
こねみゆらさんの繊細な絵が素敵な絵本です。文章は絵本というより読み物のような感覚です。さくら子、察しがよいですね。私なら、へー、自分の誕生日と同じなんだーー!と思うだけかもしれない。みもご栗というのが、またいいですね。2016/05/19
gtn
22
戸惑うのは仕方がない。戸惑いながらもこの子は、枯れてしまった桜の心残り以上に、「みごも栗」の恩を感じている。2020/10/17
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