出版社内容情報
この本は、私が東洋経済新報社から出した2冊の本(『経営を見る眼』『経済を見る眼』)を合本したものである。
前者は2007年、後者は2017年の出版であるが、私がこの本のターゲット読者である「自分の仕事の意味や背景を考えたいビジネスパーソン」に提供したい「見る眼」は、幸いにして時間の経過で変わるものではない、と自分で思えた。だから、基本的に元の原稿のままでそれぞれを第1編、第2編として、それぞれの冒頭にその編全体を紹介する「はじめに」という部分をつけた。
難しい理論の世界に入り込まずに、ビジネスパーソンに現場感覚のある、わかりやすいがしかしふと考えさせられるような、そんな本を書こうとした。書くべきトピックの選択は、私が2冊の本の出版時に在職していた東京理科大学専門職大学院イノベーション研究科(MOT)の社会人学生諸君との議論の上で、生まれてきたものである。彼らに集まってもらって、日頃の仕事の中で自分が疑問に思っていること、経済について不思議に思うこと、伊丹に書いてほしいこと、を自由闊達に話してもらった。
その議論がこの本の原点である。エッセースタイルの、短い章立て、という構成のイメージも彼らとの議論から生まれた。だから2編とも、同じような章の長さ、章の数、5部構成となっている。その意味で、この本は読者がつくった本でもある。彼らの協力に心から感謝したい。2つの「見る眼」に共通するのは、カネの論理、情報の論理、感情の論理、という3つの論
理のすべてを使って、いわば「三眼の発想」で、企業も、経営も、経済も、考える、という姿勢である。
【目次】
第1編 経営を見る眼
<第1編 経営を見る眼>はじめに
第1部 働く人と会社
第1章 人はなぜ働くか
第2章 仕事の場で何が起きているか
第3章 雇用関係を断つとき
第2部企業とは何か
第4章 企業は何をしている存在か
第5章 株主はなぜカネを出すのか
第6章 利益とは何か
第7章 企業は誰のものか
第3部 リーダーのあり方
第8章 人を動かす
第9章 リーダーの条件
第10章 リーダーの仕事
第11章 上司をマネジする--逆向きのリーダーシップ
第4部 経営の全体像
第12章 経営をマクロに考える
第13章 戦略とは何か
第14章 競争優位の戦略
第15章 ビジネスシステムの戦略
第16章 企業戦略と資源・能力
第17章 組織構造
第18章 管理システム
第19章 場のマネジメント
第5部 経営を見る眼を養う
第20章 キーワードで考える
第21章 経営の論理と方程式で考える
第2編 経済を見る眼
<第2編 経済を見る眼>はじめに
第1部 素朴な疑問
第1章 毎日同じように働いているのに、なぜ景気は変動してしまうのか
第2章 なぜ株価や為替は日替わりで目まぐるしく変わるのか
第3章 なぜ日本は製造業では世界一になれても、金融では世界一になれないのか
第4章 会社の中で、経済学は何の役に立つのか
第2部 マクロ経済を考える
第5章 マクロ経済をどう描くか
第6章 日本のマクロ経済はどう動いてきたか、動いてこなかったか
第7章 何が経済成長を可能にするのか
第8章 カネと負債という魔物が経済を揺るがす
第9章 「居心地のいい」日本経済
第3部 市場メカニズムを考える
第10章 市場経済のよさの本質
第11章 市場競争の2つの機能
第12章 市場メカニズムと経済的格差
第13章 投機という市場経済の「業」
第14章 市場の制度・慣行の落とし穴
第4部 日本の産業を考える
第15章 日本型市場経済と日本の産業発展
第16章 日本の産業構造とその変化
第17章 製造業の国際展開とピザ型グローバリゼーション
第18 章 サービス産業の未来
第19章 少子・高齢化時代の日本の産業
第5部 経済を見る眼を養う
第20章 人間を見つめ、歴史の流れを考える
第21章 全体を眺め、連鎖反応と副次的効果を考える
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