出版社内容情報
非正規社員の悲惨な状況は何も変わっていない。労働現場の融解は、民間だけでなく、病院など公的な分野にも及び、日本の社会を蝕みつつある。徹底取材で日本の労働現場の実態を明らかにする。
内容説明
前著『雇用融解』では、低収入で不安定な立場の非正社員、かたや過労死に至ってもおかしくない水準で働き続けても相応には報われない正社員といった、かつてとは大きく変容した日本型雇用の現場をレポートした。それから3年、そうした働く現場をさらに深掘りすることで見えてきたのが、「働いて生活すること」を支えてきた基盤である、この国の社会システム全体がすさまじい勢いでメルトダウン(融解)を起こしている姿である。
目次
第1部 雇用融解 第2幕(深層海流「派遣切り」;「告発者」たちの憂鬱;派遣業最大手グッドウィルの破滅;「労働組合」「派遣会社」は誰のためにあるのか)
第2部 融解連鎖(居住融解―「ハウジングプア」の現実;医療介護融解;地域社会融解;公共現場融解)
著者等紹介
風間直樹[カザマナオキ]
1977年長野県生まれ。都立小石川高校、早稲田大学政治経済学部卒業。2001年同大大学院法学研究科修了後、東洋経済新報社に入社。第一編集局(現・編集局)記者として、電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。現在、『週刊東洋経済』編集部所属。第1回貧困ジャーナリズム大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
6
昨日ハローワークとケンカしてきたが、バブル崩壊よりも厳しい環境との節(16頁~)に納得。それにしても、子持ち主婦が仕事探してもない場合は、評者以上に、不憫でならない。牛丼チェーンの事例も悲惨。外国人労働者のケースも悲惨。グッドウィル破滅。そういえば、コムスンの軽自動車も一時、頻繁に目にしてTVタックルのCMにも出て来ていたのはなんとか記憶に留まっている。ハウジングプアの問題も扱われている。アベノミクスがもてはやされるが、それは株主、投資家、一部大企業の正社員のボーナス程度で、スタグフレーションを恐れる民。2013/04/02
soichiro3
0
★★★☆☆2016/07/12
すいか
0
前作は衝撃的な傑作だったが、今回はそれほどでも。派遣業界再編の経過とか、当時は面白かったかもしれないけど今となってはもう価値のない情報だし。病院や都営地下鉄の話は重要、継続した取材を期待したい。いずれ新規採用するということだったので低賃金に耐えてきた委託労働者が実際には新規職員採用の機会に応募さえ出来なかったような話が公的な職場であるなんてひどい話。2012/02/26
都人
0
社会システム崩壊の状況は良く理解できたが、対応策に言及が乏しいのが残念。 元のシステムに戻しても、別の問題が起こるだけ。2011/06/15