内容説明
名著復刊!呉音、漢音、宋音、唐音…中国から漢字を移植し、日本語として独自に定着させてきた経緯について上代から近世までを対象にして詳しく解説する。
目次
序章 概説(日本漢字音とは;日本漢字音の特質;日本漢字音における中国語音の捨象と採択)
第1章 上代の漢字音(万葉仮名の背景となった漢字音の層;上代漢字音の側面;上代漢字音成立の経緯;上代の仏典読誦音;上代漢字音から平安漢字音へ)
第2章 平安時代初期・中期の漢字音(呉音と漢音、和音と正音;平安時代初期・中期の呉音と漢音;声明に伴う新漢音の将来;陀羅尼の音読と加点)
第3章 平安後期以後の漢字音(呉音読資料と漢音読資料;漢字音の表記法の変遷と定着;呉音の実態;漢音の実態;平安後期以降の漢字音の変化;宗音の移植とその特徴)
第4章 江戸時代以後の漢字音(江戸時代の呉音・漢音・唐音;唐音の移植とその特徴;字音仮名遣いの成立の背景;字音仮名遣いから現代仮名遣いへ)
著者等紹介
沼本克明[ヌモトカツアキ]
昭和18年(1943)生まれ。広島大学大学院博士課程修了。日本の言語学者、日本語学者、文学博士。平成26年(2014)没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
11
日本語朝鮮語やベトナム語等は、主要概念を漢語に依拠し周りを固有語で操作する言語だが、漢語の導入の態様は様々である。我が国は漢字を表記と共に、呉音漢音更に唐音迄重層的に導入した。本書はその歴史を述べる。内容の十分な理解には日華両国言語史についての基礎知識が必要である。よって理解は良くて三割という所。朝鮮を経由して導入された呉音は、仏教を中心に受容。正音とされた漢音の導入は、漢土でも声調の成立期であった。漢語の導入は、我が日本語に拗音等新たな音韻を齎す。日本語自身にも様々な音韻変化があり近代に向かう。面白い。2025/05/04