創元SF文庫<br> マインド・イーター 完全版 (完全版)

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創元SF文庫
マインド・イーター 完全版 (完全版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 509p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488742010
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

マインド・イーターとは、人間を完全に異質なものに変えてしまう害意をもった鉱物的存在であり、音楽であり、言語である。応戦の術はない。ハヤカワ文庫版未収録の2作品を収めた決定版! 創元SF文庫版著者あとがき=水見稜/作品解説=飛浩隆/作者解説=日下三蔵

内容説明

宇宙へ出た人類に襲いかかったもの、それがM・E。ひとつ前の宇宙の残滓であり、人間に悪意をもつ、小天体の姿をした存在。精神を食いちぎり人を異質なものに変える。これを破壊せんと連合はハンターを育成し宇宙へ送るが、戦いは絶望的だ。しかもハンターがM・Eの顎に倒れると、精神的に強く結ばれた恋人や肉親までもが変貌するのだ。日本SFの里程標的傑作を完全版で贈る。

著者等紹介

水見稜[ミズミリョウ]
1957年生れ、早稲田大学第一文学部卒。80年、第6回ハヤカワSFコンテストに投じた「悪魔のふる夜」が参考作となり、81年“SFマガジン”に「オーガニック・スープ」を発表しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

財布にジャック

88
凄い世界を覗き見てしまいました。そして、バリバリのSFなのに、とてつもなく切ない気持ちになってしまうのは何故なのでしょうか。短編集で、それなりに一貫しているようでもあり、全くバラバラなようでもあり、読めば読むほど不思議な感覚に捕らわれてしまいます。想像力の無い私には、この世界を100%理解することは不可能でしたが、読んで良かったと心から思える1冊です。 2012/05/24

藤月はな(灯れ松明の火)

48
1979年、神林長平氏は『戦闘妖精・雪風』シリーズで言語的思考を行い、人間を攻撃するジャムを生み出した。そこにはジャムという「敵」と言語で設定できる対象があった(後に変わるが・・・)。一方、水見凌氏は人間の精神を根本から悪意を持つ攻撃性へと向くように変えうるマインドイーターを設定した。このマインドイーターで特徴的なのは遭遇した者はその近親者や関係者もマインドイーターになるしかないことだ。まるで伝染病のように伝播し、人を根本的に変えてしまう恐怖。全く、理解もできず、排除するしか方法がない事への恐怖がある。2015/10/26

まえすとろ

35
宇宙へ進出した人類に襲い掛かり精神を破壊し、その肉体を異質なものに変化させる鉱物意識体マインド・イーター(M・E)と人類との攻防を基本設定に8話から成る短編は宇宙と人間、感性と感情、生と死という哲学的テーマを通して人はなぜフィクションを求めるのか?SFとはなにか?という問いを読者に投げかける試みは1980年日本SF小説の全盛期において小松左京、筒井康隆らも盛んに作品の題材に取りあげたテーマ。その≪文系SF小説≫の中においても本書は今なお傑作を謳われる一作であり、全く古さを感じさせない文体と構成は見事。 2015/10/15

キキハル

33
濃密な文章は一息に読むわけにはいかなかったが、世界観は充分に楽しめた。M・Eは悪意を持つ鉱物的存在。人間の精神を喰いちぎり異質なものに変えてしまう。しかも肉親や恋人など精神的に近しい人もM・E症にしてしまうのだ。飛浩隆氏の解説によると、この本は作者の実験だという。時系列に並べた連作短編集だが、M・Eとの直接戦は最初の「野生の夢」だけ。あとはM・Eがあることが前提の世界で生きる人々の生き様と内面性を描いている。骨太なのに繊細な言葉たちは余分な情緒を拒んでいるようにも見える。SFの息吹を感じる一冊だ。2012/02/02

F

28
宇宙へ出た人類に襲いかかった小天体の姿をした存在、M・E《マインド・イーター》。接触した人間の精神を喰らい、異質なものに変えてしまう。また、襲われた者の精神的近親者までも変質させるという脅威。直接的な迎撃から、精神的なものまで、様々な位相でM・Eと対峙する人類の姿を描くSF作品集。各編ごとに、全く別の舞台、そしてM・Eは別存在と言っていいほど変化するが、どのような場所、形であろうとその根源はぶれることはなく一つのテーマを追っている。「日本SFが成し遂げた最高の達成」と言った飛浩隆氏の言葉に偽りはなかった。2012/01/11

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