内容説明
退役生活に別れを告げ、“不正規隊”を連れエル・ファシルの独立革命政府と合流したヤンは、二度目のイゼルローン攻略を目論む。一方、自由惑星同盟を完全に粉砕するべく、首都ハイネセンへ艦隊を差し向けたラインハルトに、同盟軍の宿将ビュコックが最後の抗戦を試みた。圧倒的劣勢のなか、護るべきもののために立ち上がった老将と若き皇帝の激戦は、英雄たちに何をもたらすのか。
著者等紹介
田中芳樹[タナカヨシキ]
1952年、熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。78年「緑の草原に…」で幻影城新人賞受賞。88年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
95
久々の銀英伝です。この巻は、2つの白熱した戦いが軸となっています。戦略、戦術という頭脳戦を満喫しました。それにしても、最前線に立って戦うことでしか覇気を得られないラインハルトの将来を憂慮してしまいます。全銀河系を制覇して戦う敵がいなくなったら、いったいどうなってしまうのでしょう。今はヤンが健在ですけれど....しかしながら、そのヤンについて"生前のヤンはこうだった"というような記述が目に付き、気が気ではないのです。まるでヤンの死を暗示されているようです。次の巻で不吉なことが起こるのでしょうか...2021/11/29
おかむー
93
瀕死の同盟とローエングラム王朝となった帝国の最後の一戦が描かれる第七巻。『よくできました』。「最後の一戦」とは言ってもヤン一党が出奔した残りかす(暴言)の同盟最後の意地であり、“自由惑星同盟”を終わらせるための戦いであるところはやるせない。六巻、七巻ともに、ヤンの救出劇、イゼルローン奪還の奇策、ビュコック提督の死に花などそこそこの面白味はあるもののやはりあくまでも五巻で不完全燃焼だったヤンvsラインハルトの再決戦へ向けての幕間劇なのである。2017/06/04
かえで
79
シリーズ7巻目。まさに怒涛編。これでもかと話が加速していき、着実に物語は終幕へと向かっています。最初はヤンが好きだなあ、と思ったけど読み進めていくとラインハルトも同じくらい好きになってくる。物語も後半に差し掛かるため、重要人物が命を落とすシーンが多く出てくるので、読んでいて辛くなってきます。好きなキャラクターが死んでしまったときの喪失感たるや...でもそういうところも含めてこの作品の魅力です。次の巻ではきっとさらに大きな事が起こるのでしょう..怖いですが楽しみです。「民主主義に乾杯」2018/07/13
金吾
76
亡国の様が見事に描かれていると思いました。国家も生きているのでいつかは滅びる時が来るとは思いますが、その一つの例衆愚政治、ポピュリズムを推進する国民、軍の暴走、統治者の無気力、裏切りが何巻にもわたる間によくわからせてくれたと思います。ビュコック提督の国家に殉じる姿勢は感銘を受けますが、部下をたくさん引き連れすぎたかなとも感じました。2020/07/02
めぐ
73
「わが皇帝は、大なりといえども同盟政府を恐れず、小なりといえどもヤン・ウェンリー一党をおそれたもう。そのゆえんを、卿自身が明らかにしたわけだな」このミッターマイヤーのセリフが好きだ。なるほどなぁ、その通りだな。この巻の中には大切な部分がたくさんあるけれど、私が一番気に入った部分はヤンの暗号だ。あれは誰にも解除できないだろう。戦闘の運命を決める、一刻も争うその瞬間に、そんな長い暗号を打ち込む必要があるなんて。やっぱり変わり者だね。2021/01/23