感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
13
05年の税抜880円の3版(初版80年)を読んだ。既視感しきりで、先発の姉妹編「ロシア・ソビエトSF傑作集」との重複か、作品を個別に収録した他のアンソがあるのかと思ったがそうでも無い。本書(3版)は復刊らしく、私が初版を既読なのだろう。上巻となる本書は東欧のポーランド、ハンガリー、ブルガリアの17話を収録。カバーには著者総代でカリンティ(親父さんの方)の名がある。ゼガルスキの「作家の仕事場で」は禁断の楽屋落ちだが、オチるまでワクワクしたので許す。ドネフの「金剛石の煙」はホームズパスティーシュ。★★★★☆☆2018/09/09
有沢翔治@文芸同人誌配布中
11
日本ではあまり馴染みがない東欧SF。共産主義を賛美しているのではなく、一歩引いて眺めた作品が多い。例えば機械のいうことは絶対で、それに従わなくてはいけない惑星。ここで言う機械は一党独裁の比喩となっています。他にも「未来の光景」は監視社会をテーマにしています。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51498743.html2018/06/26
evifrei
5
①自由主義国家から社会主義国家への転換体験②検閲により許可された書籍だけが出版を許される、という東欧の社会制度のもとで発表されたSF短編集。上巻は、ポーランド・ハンガリー・ブルガリアの作品が収められる。背負ってきた時代背景により、かなり独特な作品が多い。特徴は、未来や宇宙から人類全体を破壊するため現れる『絶対の敵対者』がいないこと(後書きによると検閲制度の影響らしい)・管理社会たる未来に対する漠然とした不信や不安を漂わせた社会批判が多くの作品で展開されること、であろう。他の東欧文学同様、中毒性は高い。2019/09/05
スターライト
5
80年に邦訳された東欧SF傑作集。上巻にはポーランド、ハンガリー、ブルガリアの三カ国の作家、17編を収録。それぞれが短いため、ワン・アイデアに基づく話といった感じで、発明・発見された物の謎解きや事件の顛末を描いている。本書の扉の紹介にあるような、「政治色が濃くて共産主義万歳調のものが多い」というのが当時の共産圏のSFについてのイメージだったようだが、そもそも日本に紹介される作品数が少なかったし(それは今も変わらない)、国の成り立ちや政治状況を考えれば仕方ない。巻末の編者による東欧SFの歴史は圧巻。2011/09/29
NEED LESS
2
日本ではあまり馴染みのない東欧の作家のSF作品を集めたアンソロジー。共産圏のSFということですが、特に資本主義に対して批判的な作品があるかというとそういうわけでもないです。東欧のSF作家と言えばポーランドのスタニスワフ・レムが日本では有名ですが、本書にはポーランドの他にブルガリアやハンガリーの日本ではほぼ無名な作家の作品ばかり収録されています。思想、宗教、民族といったものが複雑に絡み合う東欧諸国だけに、日本人の私からするとやや判りにくいような、味わいがあるような作品が多かったです。2015/02/28
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