出版社内容情報
ヒューゴー賞受賞
ネビュラ賞・ローカス賞候補
遺伝子工学で復活した
マンモスに意識をデジタル移植した生物学者、
その群れを狙う密猟者と大富豪
自然と人間の相剋をSFならではの視点で描ききる
新時代の俊英登場!
近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区が成立していた。かつて象の研究者だったダミラは、死後その意識を一頭のマンモスに転送し、群れを率いる存在となる。一方、保護区にはマンモスを狙う密猟者たちや、大金を積んでマンモス狩りの権利を得た富豪らが集まっていた。マンモスを巡る苛烈な戦いの中で、彼らは何を得るのか? ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞候補作。
【目次】
内容説明
近未来。野生の象は絶滅し、シベリアには遺伝子工学で復活したマンモスの保護区が創設されていた。象を保護する生物学者だったダミラは死後一世紀を経て、その意識を一頭のマンモスにデジタル移植し、群れを率いる存在となる。だが彼女らを狙う密猟者が…自然と人間の相剋を、新時代の俊英がSFならではの視点で描ききった、ヒューゴー賞受賞、ネビュラ賞・ローカス賞候補作。
著者等紹介
金子浩[カネコヒロシ]
1958年生まれ。早稲田大学政治経済学部中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
49
野生の象が絶滅している近未来の社会を舞台にしたSF。マンモスだけはシベリアで復活しており、牙を狙った密猟者が跋扈しています。主人公の一人ダミラは殺されてしまいますが、最新のテクノロジーの恩恵を受けて、彼女の意識がマンモスに転送されます。200ページ程度の短い小説ですが、様々な要素が絡み合った忘れがたい作品に仕上がっています。特にマンモスと一つになったダミラの意識の変容が面白いです。過去のことを思い出して、内省的になったりします。密漁者である同性愛のカップルの葛藤も巧みに描かれています。ヒューゴー賞受賞作。2025/10/14
本の蟲
19
ヒューゴー賞受賞の中編SF。野生の象が絶滅した近未来。遺伝子工学で復活させたマンモス保護区がシベリアに創立される。野生を知らないマンモスを率いる存在として、ある個体に1世紀前の生物学者ダミラの人格データが移植された。象の生態に誰よりも詳しく、保護活動の末亡くなった彼女の死因は…。「どうして象ではなくマンモス?」の問いに現実的な解が示されて納得。しかし保護区もまた、際限ない人の欲望からは逃れられない。崇高な理念と予算獲得の手段に生じる矛盾。野生と人の相容れなさ。最近の熊の話題も相まって、なかなか楽しめた2025/10/31
Nao Funasoko
18
象牙密猟により地球上から象が絶滅した近未来のシベリアが舞台。象を保護する生物学者だった ダミラの意識が一世紀の時を経て遺伝子工学で復活したマンモスに移植される、、、、 ちょっと毛色の変わったSFだった。登場人物のロシア系の名前の読みにくさ以外は案外読みやすい。(^^;)2025/10/26
伝奇羊
9
著者の第三作に当たる長編、マンモスに、アップロードされた人間の意識を移植するなど SF的要素はバックボーンとしてあるんだけど密猟や野生生物の保護、共存が重要なテーマの様だ。最初の方でマンモスとしてのダミラと人間としてのダミラの回想が入り混じっていてちょっと混乱した。最後の方で味方になった少年を追いやったり、だんだんと人間としての考え方?を忘れていくダミラは人間の意志を持つマンモスとしての役目を終えて、野生に帰って生きていくのだなと思った。2025/11/08
Abercrombie
5
2025年ヒューゴー賞受賞作。大きな活字に広い行間。今どきの時代小説のような造りはとても読みやすいが、これは中編を無理矢理一冊の本に仕立てただけで、東京創元社が突如老人愛に目覚めたわけではあるまい? 中身はマンモス版ジュラシックパークといったところ。群れを率いるリーダーに、かつて象の保護活動中に殺された生物学者の意識が転送されているってのがこの話の肝だがお陰で戦いは一瞬。語られるのは学者をはじめとした視点人物たちの家族のことばかり。それはそれで印象深くはあるんだけど、尺を考えれば脇道に反れすぎと感じた。2025/11/20




