出版社内容情報
【ヒューゴー賞受賞】
そもそも一杯の酒につられて素性の知れない男の話なんかに耳を傾けたのが間違いだった。失業俳優ロレンゾが引き受けた仕事は、行方不明中の偉大なる政治家の替え玉役。やっつけ仕事のはずだったのに、いつのまにやら太陽系帝国の運命まで担うはめになろうとは。プライド高き三文役者の一世一代の大芝居、八面六臂の大活躍! 巨匠に初のヒューゴー賞をもたらした、歴史に残る傑作。解説=高橋良平(初刊時タイトル『太陽系帝国の危機』を新訳・改題)
内容説明
そもそも一杯の酒につられて素性の知れぬ男の話なんかに耳を傾けたのが間違いだった。失業俳優ロレンゾが引き受けた仕事は、行方不明中の偉大なる政治家の替え玉役。やっつけ仕事のはずだったのに、いつのまにやら太陽系帝国の運命までも担うはめになろうとは。プライド高き三文役者の一世一代の大芝居、八面六臂の大活躍。ヒューゴー賞受賞作。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ざるこ
49
「熱い噴射を!」「つつがなき着陸を!」航宙士との乾杯の挨拶である(もうすでにこれだけで楽しい)見知らぬ男とのバーでの出会い。プライドだけは高そうな失業俳優ロレンゾが一杯の酒につられて巻き込まれる騒動は太陽系帝国の政治家ボンフォートの替え玉役。一度きりの約束のはずが…。ボンフォートを演じながら知る無関心だった政界の動き、支える人々の努力。度重なる危機を乗り越え変貌を遂げるロレンゾが頼もしい。政治が現実的だったり皮肉っぽくもあり願望も入り交じってるようだ。終盤、月から地球を眺めるロレンゾを思い描く楽しさよ…。2019/05/07
かえで
41
ハインライン初のヒューゴー賞受賞(計4回受賞)の傑作。売れない俳優ロレンゾは、大物政治家、かつての太陽系帝国首相の替え玉をすることになってしまった!そんな三文役者の一世一代の大芝居と活躍を描いた作品。そのストーリー上、政治的な色合いもあるが作者の思想的なものは抑え目で(解説を読むまでどれが彼の思想なのかわからなかったくらい表に出てきていない)、エンタメ色が強く楽しめる。何といってもロレンゾの成長(彼は既にいい年なのに!)が大きな魅力。さすがSF界随一のストーリテイリングの持ち主の作品、と満足させられた。2015/08/26
鐵太郎
27
仕事にあぶれた役者が出会う宇宙規模の政治的陰謀。一行で言うのなら、この話はこれだけです。これは、一人の男の成長物語であり、普遍的な正義の成就を願う当時のハインラインの政治的メッセージであり、人種偏見と闘い異種文化と共存するマルチ・カルチャリズムの物語であり、目的のために結束して戦う男女チームの物語です。「古典」とまでは言い切れませんが傑作SFじゃないかな。クライマックスの、国王ウィーレムの前で転ぶシーンが忘れられません。そして、この時代のストーリーテラーとしてのハインラインは本当に見事。2006/01/04
亮人
26
未読のハインラインを重点的に読もうと思って、まずはヒューゴー賞受賞作を手にとってみた!おもしろかった!太陽系帝国議会の野党第一党党首(元首相)が何者かに拉致され、失業役者のロレンゾが影武者に据えられるお話。政治の話中心でSFを舞台にしなくても通用しそうなストーリーだが、火星人など古色蒼然のSF設定も出てきたり中々楽しい。火星人の生態や習慣などの架空文化の構築に妙を感じた。ストーリーテリングも軽快でテンポよく、どきどきアリ感動アリでキャラクタも躍動してよかった!!やっぱりハインラインはイイネ!!2015/01/10
kochi
19
売れない俳優のロレンゾは、ある人物を演じることを引き受けたことから、太陽系帝国を揺さぶる陰謀に巻き込まれることに。何故か立憲君主制をとる近未来の太陽系帝国を舞台に、役者の職業倫理で政治の闇に立ち向かう主人公のすがたは、現代日本のお仕事小説にも通じるものが。1956年のヒューゴー賞受賞作だが、このシンプルなスペースオベラから、『異星のの客』や『愛に時間を』などまでも生み出すハインラインはやっぱりすごい。(旧タイトルを読んだのですが、こちらに感想を書きましたf^_^;)2015/06/28