内容説明
銀河パトロール隊が創設される以前、人類は地球を中心に三惑星連合を組織していた。その彼らを、エッドア人が操る、かつてない超兵器を備えた海賊艦が襲撃した。戦いのさなか、人類はさらに太陽系外の両棲生物ネヴィア人の宇宙艦と初めて遭遇する。三つどもえの戦いの行方は?さらに本巻では、宇宙を二分する善と悪の闘いが、はるかアトランティス時代にまで遡って明かされる。
著者等紹介
小隅黎[コズミレイ]
1926年金沢生まれ。1950年東京工業大学卒業
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感想・レビュー
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kagetrasama-aoi(葵・橘)
17
レンズマン・シリーズの第六作目。レンズマンの前史を中短編で語られています。アトランティスの“金色を散らした褐色の目と燃えるようなブロンズ色の髪”の青年の話とか、サラリーマンのキニスンの話とか、楽しかったです。第三部のタイトルになっている「三惑星連合」は元々シリーズ外の作品をレンズマンの世界観で書き直したものとのこと、どうりで“ネヴィア人”の存在が浮いている感じです。主人公もキニスンじゃなくて、コンウェー・コステガン、ヒロインはクリオ・マースデン、この二人の恋愛譚も高校生っぽくて微笑ましかったです。2019/07/30
鐵太郎
16
20億年前の二つの銀河の衝突から始まる、アリシアとエッドアの、壮大な二つの文明の激突の歴史が語られます。そして、地球上におけるいくつもの歴史の流れの中で、いかに悪の背後にエッドアがいたか。このへんは当時の歴史解釈で、ある意味ほほえましい。それから、取って付けたように全然味わいの違うこの世界の創世記エピソード。なるほど... ところでコンウェイ・コスティガンってどんな顔なんだろう?2005/10/28
k16
13
本作より再度小隅訳に戻ってレンズマンシリーズ6作目。 前作最初のレンズマン物語より前史となりレンズマンは登場しない中短編。 いつの時代もレンズマンの先祖は熱い正義漢だった。 サラリーマン小説としてのシリーズ解説に納得。2021/04/29
白義
11
〈レンズマン・ゼロ〉というべきシリーズ全体の世界観の根本を明かした一冊。20億年前に遭遇した善悪二つの超知性から全ては始まった。アリシア人とエッドア人の宇宙を舞台にした生命介入の歴史、その実験場である地球での暗闘をアトランティスからローマ、二つの世界大戦まで駆け抜け、さらにもともとレンズマン以前に発表された別の中編だった「三惑星連合」をレンズマンシリーズの時系列に組み込んで加筆、合体したシリーズ中の異色作。なんで設定の壮大さに反して、黎明編以降は個々の短編のスケール感は減退しているが、設定のどでかさは最高2018/01/10
minamikazet_sub
2
アリシアとエッドアの色んな意味で知られざる戦いの歴史を収めた本作、前半はアトランティスから始まる壮大な設定の歴史書……というよりはアリシア人がキニスン一族をストーキングしてきた記録に見える。 後半は元は別の外伝だった三惑星連合、主人公もキニスンでなくコンウェーという別のレンズマン。 この三惑星連合も前半と後半で毛色が違うのは別の作品をくっつけたからかしら。 2025/01/11