内容説明
小さな村の領主エアスリー卿の妻レディ・タラリーのもとには、助言や癒しをもとめて村人たちがたずねてくる。だが、彼らの公国に、近隣の国が攻め込んできた。兵をあつめて駆けつけるエアスリー卿。残されたレディ・タラリーと子どもたちは、なんとか事態をのりきろうとする。そんななか跡継ぎの兄とふたごの妹が、16歳の誕生日を迎えるが…。優しさと希望に満ちたファンタジー。
著者等紹介
赤尾秀子[アカオヒデコ]
津田塾大学数学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
139
SF&魔法ファンタジーの名手の女流作家アン・マキャフリーさんが描く、読むと大きな勇気をもらえる中編ファンタジーの秀作です。隣国に攻め込まれた領主が兵を集めて戦に赴く。一方、小さな村で人々の悩みを聞いて助言と癒やしを与えて来た領主の妻は村の女子ども達と共に村を守るべく知恵を絞って懸命に奮闘する。戦は長引きやがて夫妻の跡継ぎの双子の兄と妹が16歳になる時を迎えようとしていた。領主の妻レディ・タラリーが困難にぶつかる度に「私に何ができるか考えねば」と言って挑む姿に安易な魔法とは異なる努力の尊さを教わりましたね。2020/01/29
ワッピー
28
All Hallow's Eve Fantasy読書会’24参加本。小村の領主が出征し、奥方レディ・タラリーとその子どもたちが留守を守る。長男長女トラセルとティルサは双子で、近く16歳の祝いを迎える時期だが、戦況は一進一退。村にも被害が出て日常生活は脅かされ、家を焼かれた村人たちを屋敷に受け入れて、戦地に送る糧食や冬を越すための食糧増産に追われる。母の力を受け継いだティルサと、領主名代を務めるトラセルに祝いは届くのか?ドラゴンも妖精も出ないものの、日常生活のなかに祈りと奇蹟がある優しいファンタジーでした。2024/10/20
S.Mori
25
米のSF作家マキャフリーの中編。中世風の世界を舞台に、戦闘に駆り出された父の帰りを待ちながら、自分の家を守ろうとする母親と娘の活躍を描いた小説。人々が竜を乗りこなす「パーンの竜騎士」シリーズのような物語を期待したのですが、本書にはSF的な要素は少なく、その点は残念でした。でも読んでいくうちに、この物語は現在のアメリカの社会を反映しているのではと感じました。米国では多くの人が未だに戦争に行き、残された家族は不安を抱えながら家族の帰りを待つことになります。そんな人たちを癒すための物語として読みました。2020/08/27
夜の女王
19
舞台は中世ヨーロッパ風の小村。隣国との戦争が始まり、男たちは戦場へ。残された領主の妻レディ・タラリーと子供たちは村人と協力し難局を乗り切ろうとするが、村にも敵が攻めてきて・・・。館に避難してきた村人の食糧、衣類の問題など、戦争の陰で被害を受ける側の立場がさりげなく描かれる。さすがマキャフリー女史。暗さも緊迫感もなくおとぎ話として軽く(軽すぎる!)読めた。レディー・タイラーの一族の女たちに受け継がれた不思議な力、と言うのが唯一のファンタジー要素。それがラストでタイトルに繋がった。2018/06/24
suzuki-takefumi
5
当主が戦争に赴いた後の、領主一家の生活を描いた中編。村を焼かれ、館に避難してくる村人、衣類や食糧不足などの問題が降りかかる。ファンタジー世界の戦争の周辺を描き、背後にある世界や生活臭を感じられる作品。2008/07/14
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