内容説明
少年の名はウォート。親の顔は知らない。義兄のケイが騎士に叙せられた暁には、従者として一生を送るはずだった。だが森のなかで、時間を逆に生きる魔法使いマーリンと出会ったとき、彼の運命は一変した。そう、ウォートこそは、イングランドを統べる伝説の王アーサーとなるべき定めにあったのだ!奇想天外にして壮大無比、史上最高のアーサリアン・ファンタジイここに登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
126
タイトルの副題が『アーサーの書』だから、アーサー王と円卓の騎士たちの話かと思ったら、現代(描かれた当時の頃の現代ー第二次大戦前)と入り乱れる。勿論、この作品単体で面白く、それで簡潔できそうだが、やはりアーサー王の本来の話をわかっておけば良かったと思う。記憶にあるのはランスロットが中心になってしまっている。感想は下巻に。 とにかくアーサー王を読んでからもう一度再読したい。2017/08/11
NAO
74
アーサー王伝説をもとにした、ファンタジー。マリーンの魔法で鳥や魚になるだけでなく、6世紀の人物であるウォート(アーサー)が森で出会うのが中世の英雄ロビン・フッドと、時間軸も無茶苦茶。ウォートのいろんな冒険より、王になってもマリーンに頼りっぱなしのアーサーをマリーンがいさめる場面が心に残った。2020/03/10
syaori
41
中世を舞台にし、アーサー王に材をとった物語は、アーサーの少年時代から始まります。魔術師マーリンと出会いから。マーリンが与える、魚や鳥に姿を変えて様々な体験をさせるという独特で伸びやかな教育は楽しいですが、同時にアナグマや雁からの仲間を殺す動物なんて人間しかいないという言葉が重く響きます。なぜ人は人を殺すのか。〈力〉は〈正義〉という時代、マーリンの言葉や教育からこの古い秩序を破る円卓の思想が生まれますが、それを打ち立てるのも〈力〉、戦争によって。その力を正義のためだけに使わせることはできるのか? 下巻へ。2017/10/30
星落秋風五丈原
27
【ガーディアン必読1000冊】マーリンは映画『ベンジャミン・バトン』の主人公よろしく時間を遡って生き、予知能力でアーサーの運命を見通せるが、パラレル未来展開ではない。少年ウォートの修行時代にボリュームが割かれている点も特徴。境界線を守る蟻、平和主義者の雁、様々な鳥達がお互いの生態を尊重しながら共存する島、アナグマによる「ホモ・サピエンスは戦争をする唯一の動物」という指摘、マーリンによって様々な動物に姿を変えたウォートが動物達との出会いを通じて理想とする国づくりを夢見るようになる件はビルドゥングスロマン的。2015/11/08
明智紫苑
14
震災をきっかけに再読。おそらくは最も成功したマロリー版の二次創作だろう(マーク・トウェインの『アーサー王宮廷のヤンキー』は実質的にゲーテの『ファウスト』第二部のパロディだ)。基本的にコメディタッチだが、終盤は悲劇的に急降下。2018/09/12
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