出版社内容情報
クトゥルー神話の創造主にして20世紀最後の怪奇小説作家ラヴクラフト。その全貌を明らかにする待望の全集――本巻には、アーカムやアヴドゥル・アルハザードが初めて言及される初期の作品や、ロバート・ブロックに捧げた作者最後の作品をはじめ、時空を超えた存在〈大いなる種族〉を描く、ラヴクラフト宇宙観の総決算ともいうべき「時間からの影」など全8編を収録。訳者あとがき=大瀧啓裕
目次
「ダゴン」
「家の中の絵」
「無名都市」
「潜み棲む恐怖」
「アウトサイダー」
「戸口にあらわれたもの」
「闇をさまようもの」
「時間からの影」
「資料:履歴書」
1 ~ 1件/全1件
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
108
心胆凍える恐怖がピリリと効いた傑作短編が勢ぞろい。「ダゴン」の決して逃げられない恐怖、「潜み棲む恐怖」の繁栄の対価、「時間からの影」の輪廻性もさりなが、インマウス、ウェイト家とお馴染みの関係者の末裔に「その娘に関わっちゃ、いかん!」と叫びたくなる「戸口にあらわれたもの」もその結末の意味する事を考えるとどれもが恐ろしくて怖い。しかし、「履歴書」のラブクラフトによる語りが読みにくくて困った。スティーヴン・キングが『小説について』で会話文で最も駄目な例でラブクラフトを出していた理由がこれで分かった気がします。2017/09/01
コットン
73
拓也さんのオススメ本。幻想的な『戸口あられたもの』や『時間からの影』が面白かった。コリン・ウィルソンがタイトルを引用した『アウトサイダー』も、もちろん興味深く読了!2016/08/23
bookkeeper
69
★★★☆☆ 再読。暗闇に蠢く人智を超えた恐怖!短編集3。前半戦は短編だが最後の2篇は中編でボリュームがある。読み応えに狂喜乱舞するか、くたびれてしまうか…。「ネクロノミコン」などの超メジャーアイテムやネーミングが散りばめられているのだが、思いの外ピンと来ないというか…読むのがしんどい。私には決定的に合わないのか。大いなる種族とか、別に悍ましくない。フォルムはヒトと違うが文明的な暮らししてるし。あと、呪われた書物関係、案外色んな人が読んでるし、読んでも案外平気(笑)。すぐ死霊に取り憑かれたりはしないのね。2024/02/06
Bugsy Malone
63
各時期を代表する八編を収めたというだけあり、魔術的なものから宇宙的なものまで、どの作品も面白かった。中でも初期の短編「ダゴン」や「アウトサイダー」後期の中編「時間からの影」の最後の一行は強烈な印象を残す。また、巻末にはラヴクラフトが自己紹介をしている書簡もあり、そこにはラヴクラフトの人種感等も書かれていて興味深く読めた。2016/01/09
財布にジャック
63
シリーズ3巻目。アラビアの砂漠の彼方の廃都やテンペスト山の頂にある無人の館等、今回は舞台も魅力的でした。さらに「ダゴン」という初期の作品はたった9ページしかないのに、素晴らしい出来だと思いました。又「トラペゾヘドロン」という架空の物質や「ネクロノミコン」「エイボンの書」という架空の魔道書が出てきたんですが、実存しているのかと検索までしちゃいました。「時間からの影」ではついに宇宙にまで言及、これを75年前に書いてると知って、もうアメリカドラマのXファイルなんて目じゃなくなりました。2010/10/31