出版社内容情報
正統派のホラー・ストーリーの第一人者として他を圧するレ・ファニュの選びぬかれた傑作集。夜な夜な窓辺に現われる白い手、姿なき復讐者にとりつかれた超自然の恐怖、犬に化身した父親の遺志、亡霊に恋人をとられた画家の怨念、悪徳判事に復讐する刑死者たちの亡霊、恋人の血を吸う美貌の令嬢など、作者の真価を伝える7編を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
56
『ガラスの仮面』でも亜弓の演じた劇として描かれた表題作は既読。改めて読むとカーミラはレズヴィアン要素が艶めかしくも濃厚で読んでいて赤面しますね。カーミラが次第に可愛らしく、思えた矢先に大佐によって正体を現す場面は衝撃的。特に怖かったのは「白い手の怪」と「判事ハーボットル氏」。やっぱり、因果関係が分からない怪異が一番、怖い!2014/06/25
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
35
**吸血鬼**『吸血鬼ドラキュラ』の原作者にすら、多大な影響を与えた正統派ホラー。夜な夜な窓辺に現われる白い手、姿なき復讐者にとりつかれた超自然の恐怖、そして、恋人の血を吸う美貌の令嬢…。ヴィクトリア朝時代の代表格と言える傑作ホラー譚を収録!?――本作品は…西暦1839~72年の間に描かれた作品とのことです。この時代と言えば、産業革命が巻き起こり、科学という概念がようやく生まれた西洋の文明開化の激動期。 ⇒続き2013/11/26
里愛乍
33
古めかしくも優雅な口調で語られる文体がいかにも古典的な感じがいたします。恐ろしいはずの怪物が、なんとも綺麗で情熱的で<特定の人たちに、しだいに激しく取りついていくのは、恋情によく似ております>そんな表題作がラストでしめるものだから、単なる怪奇小説という感じではない、むしろ切ない感じの読後感を味わえました。2015/04/15
kasim
32
再読。表題作、邦題が有名すぎてネタバレになっているが、原題はただの「カーミラ」。虚心に読むとカーミラの怪しさが少しづつ分かるように巧く書かれている。正統派の名前カミラと違ってカーミラはレ・ファニュの作った名前だけど、魅力的な響きだ。ヒロインの一人称語りも優雅で曖昧。同性愛小説としてはかなり早い例だと思うが、「化物」ジャンルということで容認されたのだろうか。カーミラは同じ一族の血を引くヒロインを10年以上前から狙っていたらしい。ヒロインに対する真意も愛情があるのか、ただの気まぐれな出まかせなのか。2023/09/25
信兵衛
23
吸血鬼ストーリィというとどこかエロティックな雰囲気があるものですが、本作は、吸血鬼ものという以上に、カーミラとその犠牲者となる若い令嬢との間にレズビアンの雰囲気が立ち込め、惹き込まれます。 現代的に言えば、吸血鬼とのレズビアン、そこに魅了されます。2024/02/04
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