内容説明
玄関のチャイムが鳴った時、まだ死体は寝袋に入れられ寝室の床の上に横たわっていた。液晶画面を見ると、緑色のジャージを着た若い男が映っていた。「おはようございます、ドーバです。電話でパントマイムのレッスンをお願いしていた―」招かれざる客の闖入により、すべてがややこしい方向へ転がり始める「堂場刑事の多難な休日」など、当代一のへそ曲がり作家による力作四編。
著者等紹介
蒼井上鷹[アオイウエタカ]
1968年千葉県生まれ。2004年、「キリング・タイム」で第26回小説推理新人賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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papako
78
たまたま見かけて。初めて読んだ作者の作品になるのかしら。ひねくれた雰囲気ですね。四話からなる短編集だけど、堂場警部補の設定もばらばら。死んじゃうし、どうまとめるの?と思って読んでたら、一話目の設定が生きていたんですね。こねくり回したお話はあまり好きではないけど、これはすらすら読めました。なんでたろ。2020/09/04
ばりぼー
41
ジョイス・ポーターのドーヴァー警部を下敷きとするパロディ短編集。「連作短編集」として見ると、全体を貫く仕掛けは不自然でやや興醒め。技に走りすぎて墓穴を掘った感があります。ところが、一つ一つの短編をばらしてみると、論理構成もしっかりしてるし、どんでん返しも楽しめて、意外といい感じです。余計なことをしなければ良かったのに…。依頼人を監視している最中に、堂場巡査部長が居眠りをする失態がミソの第二話、訪問宅を間違えて偶然やって来た堂場刑事が犯人を追い詰めて行く、古畑テイストの第三話などが印象に残りました。2014/04/22
Yuki
27
初読み作家。ひねくれたミステリが持ち味らしく、連作かと思いきやあれ?あれあれ?となる構成や、短編にしては盛り込んだどんでん返しでこちらを翻弄する心意気を感じる――のだけれど、何故かあまり好きになれなかった。こういうタイプのミステリ作品はキャラの魅力で引っ張る必要があるのかな…。単品で見ると最初の「堂場警部補とこぼれたミルク」が一番好み。2018/06/19
惠
11
面白かったです♪とはいえ、万人受けする作品ではありません。お上手でもありません。あ、蒼井さんにしては文章的にお上手なほうでありトリックも控えめなほうでもあるということは書きくわえておきましょう。ちなみにわたしの蒼井さんへの評価及び対応の基本スタンスは「馬鹿な子ほど可愛い」。アマアマです。このひとはやはりひねくれてますね。創元文庫はけっこうな価格帯なので、購入時にはくれぐれもご注意を。繰り返しますが、わたしの感想は「面白かった♪」ですので悪しからず。2011/11/07
barcarola
7
まず、目次にある各話タイトルをみて悩む(笑)。で、各話において(良い意味で)戸惑い、各話間のつながりで混乱する。そして最終話につながるわけだが、なんとまぁ……。2021/03/14