出版社内容情報
僕が小さなしくじりから、クラスの「幽霊」になったのは、7ヶ月前のことだ。――ある事件から、同級生の目に映らない存在として扱われ、話しかけられることもなくなった高校1年生の一居士架は、ある時同級生の高町から、一緒に文化祭の展示研究をしようと持ちかけられる。彼女の存在に救いを覚える架だが、高校の周辺で起きる動物虐待死の事件が2人の日々に影をさす。静謐な筆致で慟哭と驚愕を描き上げた、青春ミステリの傑作。
十市社[トオチノヤシロ]
内容説明
高校入学七ヶ月目のある日。些細な失敗のためクラスメイトから疎外され、“幽霊”と呼ばれているぼくは、席替えで初めて存在を意識した同級生にいきなり話しかけられた。「まだ、お礼を言ってもらってない気がする」―やがてぼくらは誰もいない図書室で、言葉を交わすようになる。一方、校舎の周辺では小動物の死骸が続けて発見され…。心を深く揺さぶる青春ミステリの傑作。
著者等紹介
十市社[トオチノヤシロ]
1978年、愛知県生まれ。中京大学卒。2013年2月、Amazonが提供する電子書籍出版支援サービスKDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)から、『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』(上下)を発売。同書を改稿のうえ、“ミステリ・フロンティア”より紙の書籍として刊行し本格的にデビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nabe
60
背面に青春小説の傑作とある。読メの感想数も少なく半信半疑だったが、見事に裏切られた。これは面白い!荒削りな設定ではありつつも推理文庫の名に恥じない真実への驚きがあり、生々しい思春期の心の動きがあり、愛情よりも友情に重きがおかれた人と人の繋がりがあり、何より、楽しくも苦々しい青春そのものがある。しばらくサボっていた俺に読メを更新しなくては、と思わせてくれたパワーもあるな(笑)2016/10/22
ユメ
45
震えるような読書体験だった。ちょっとした失敗のせいで、高校のクラス内で孤立して幽霊扱いされている一居士架。そんな彼に突然話しかけてきたクラスメイトの玖波高町。彼女が「架は生きてるんだよ」と言った瞬間、不思議なタイトルの意味に思い至って、鮮烈な感動が湧き上がった。ところが、この物語はここで終わりではない。高町が抱える秘密について、読者は架と共に不穏な想像を重ねながら、二度三度と裏切られることになる。自分が生きられる場所を求めてじたばたともがく青春の痛みと、その先に見える一条の光に心を揺さぶられるミステリ。2017/03/22
じゅんぢ
34
ミステリーを結構な数読みこんでいる人ほど騙されると思う。前半はあまり動きがなくて動きの大きいミステリーが好きな人は退屈に感じると思う。けど、ここを乗り越えるとあとはラストまで一気に物語が動き出す。久しぶりに寝食を忘れ没頭したミステリーでした。2018/09/21
オフィーリア
30
中盤までは全然話進まないなこれ…と不満でしたが、後半からの二転三転する展開に一気読みでした。爽やかな表紙に反して中々に重いストーリー。ミステリかというと少し違う気もしますが、青春小説として楽しく読めました。2018/09/30
ヤクモ
30
高校に入学したてに犯した失敗によりクラスで孤立することになり幽霊扱いされている一居士架。そんな架の前の席になった玖波高町に話しかけられ、ノイズだらけの日常に希望がもたらされる。巧みに仕掛けられたトリックによって、架の家の火事は本当に起きたのか、架は本当は幽霊なのか、休みがちな高町が隠している家庭の事情とは、高町の家で起きた火事の真相はいったい何なのか、ラストまで読者は不安に陥れられながら翻弄され続ける。そうして、ようやく辿り着いた場所で明かされる真相。お見事でした。文章も読みやすくて好みです。2017/04/02