内容説明
刑事を辞めて八ヵ月。雑誌への寄稿で食いつないでいた俺・柚木草平を、絶世の美女が訪ねてきた。ある男を一週間尾行するだけの簡単な仕事に、二百万円もの報酬。買い食いしながら一日歩きまわるのを尾けていたところが、三日目に男は謎の餓死。死の直前まで、飲み食いしていたはずなのに―。アクロバティックな展開と会話の味が秀逸な、柚木草平“三十五歳”の事件。初文庫化。
著者等紹介
樋口有介[ヒグチユウスケ]
1950年群馬県生まれ。國學院大學文学部中退後、劇団員、業界紙記者などの職業を経て、1988年『ぼくと、ぼくらの夏』でサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。1990年『風少女』で第103回直木賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
38
読破。ミステリー、ハードボイルド…あらら? おいおい(笑)こういう展開? こういう結末? ま、結末自体は置いておくとして、柚木草平の背景を知る、という点ではいいんじゃないかと。これは…まぁ、ちょっと長いがご愛嬌な作品ってことで(^O^;)2014/05/13
背番号10@せばてん。
22
2008年1月3日読了。柚木草平シリーズ…に改悪した微妙な作品。逆効果と断ずるのは、私だけか。2008/01/03
ぶんぶん
16
【図書館】柚木草平シリーズとして予約したが習作の改稿版。 これは、シリーズに入れるべきか・・・疑問。 雰囲気を狂わしている、夢子のせいで事務所が改変、後に続くストーリーが無いから自由すぎる。 「ろくでなし」として、単独で成立するものだと思う。 「ろくでなし」もアイデアに困って出したというが、今回も困って全面改稿したのではないのか。 性格は似てても行動が全然違う、ハードボイルド感が、全くの他人。 「あとがき」を読んで、どうしようかなと思ったが、つくづく、読まなきゃ良かったと思う。2021/10/17
浮かれ帽子屋
12
柚木創平シリーズのなかでも予想の斜め上を行く異色の一冊。ミステリの展開もさることながら、舞台のスケールも大胆に大きい。謎の美女からの怪しい依頼。素姓の知らない男を尾行するだけで、多額の報酬金をくれるという。もちろん話がそれで済むわけがなく、柚木は常識外の事態へ巻き込まれて、いや、勝手に首を突っ込んでいくのだが。若かりし頃の柚木もいつもどうり相変わらずで、きれいな女性への正義感だけどういようもなく強くて、いや、もはや正義感とかじゃないんだろうけど。あれ、段々、柚木がどうしようもないやつに思えてきたな。2013/01/01
ジロリン
10
いつもの柚木草平シリーズとは、ちょっと違う肌触り。女性に対していつもはクチだけなのに、実際に手を出してしまう所とか、謎のオチの着け方が多少、いつもの「どこにでもありそうな日常」から浮いてるところとか…若き日の(笑)柚木草平の姿を垣間見ることができたのは楽しかった。2014/09/21