内容説明
開業を夢見る若き弁護士の僕は法律事務所に勤めている。人の数だけドラマがある、ましてや弁護士に持ち込むのだから、というわけでもなかろうが、ともすれば理解に苦しむ依頼にぶつかる。こういう場合に重宝なのが友人のコーキで、彼の端倪すべからざる推理力には高校時代から舌を巻くばかり。あきらめがいいんだか悪いんだか判然としない客のことも、飲みながら話すうちに…!第一回創元推理短編賞受賞。
著者等紹介
剣持鷹士[ケンモチタカシ]
1962年、鹿児島県生まれ。九州大学法学部卒業。93年刊『競作 五十円玉二十枚の謎』の公募企画で最優秀賞を、94年「あきらめのよい相談者」で第一回創元推理短編賞を受賞
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感想・レビュー
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kochi
14
イソ弁の剣持は、扱いに困っていた相談者の名前が、殺人事件の犯人として、取りあげられた朝のニュースの一部を聞く。思わず、相談概要を話してしまった剣持だが、親友の広瀬やコーキは、「被害者は誰か?」の推理を始める… (「あきらめの悪い相談者」)ほとんどなんの役にも立たない推理を披露する本作の探偵役だが、博多弁で披露される論理の展開は見事。作者は、若竹七海の体験に基づく「五十円玉20枚の謎」の一般最優秀賞受賞者らしく、本職の弁護士ということだが、登場する仕事場での会話が理屈っぽく、法曹の人って、みんなこんな感じ?2021/03/20
hirune
13
自己破産するには更に弁護士費用で3〜40万円必要だとか、内縁の妻に全財産を残すには生前贈与がいいとか、現実的なことが気になっちゃってσ^_^; そんなに重くない謎を解く短編集は好みですし、軽い感じの文章も好きでした。2014/03/23
はんみみ
11
面白かった、けれどミステリの部分以上に、若手弁護士のお仕事小説としての部分とか、平成初期の社会情勢的なモノの部分が目を惹く感じ。九州の言葉って意外にマッタリしてるのよね、語尾の「〜と」とかスンナリ読めないところ二箇所ほど九州出身の旦那に音読してもらった(笑)最終話で主人公が食への拘りを爆発させるのに笑った。人の酒の飲み方に文句をつけるには訳があったか2019/06/22
蕭白
8
いい雰囲気でした。2022/07/03
うぇい
7
30年近く前の作品みたいですが、目についたので読んでみました。 作者は福岡の弁護士の方みたいですね。安楽椅子探偵物でリーガルミステリーな感じでした。4話目とかテレビのニュースの聞き逃した部分を推理しただけじゃんとツッコミ入れたくなったけど。 少し理屈っぽく感じてしまう知的遊戯という感じでしたがまずまず面白かったです。2023/11/24