内容説明
東京地検の検事、千草泰輔の許を訪ねてきた出版部長の妻の失踪事件に端を発し、連続殺人へと発展する『赤の組曲』。千草検事が遭遇した誘拐事件が、不可能状況下での殺人へと展開する『針の誘い』―ともに事件の謎、中段のサスペンス、結末の意外性、精緻な論理展開…と、どれをとっても傑作の名に恥じない作品である。
著者等紹介
土屋隆夫[ツチヤタカオ]
1917年1月25日長野県生まれ。中央大学法学部卒。49年、「宝石」の百万円懸賞コンクールに「『罪ふかき死』の構図」が一等入選。58年の『天狗の面』以降長編を発表し続け、現在に至る。『影の告発』で日本推理作家協会賞を受賞
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感想・レビュー
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tagomago
1
「針の誘い」誘拐事件に至るまでの助走の短さが素晴らしい。現実の誘拐事件とリンクさせて恐怖を煽りながらサスペンス溢れる演出が見事。そこにミスディレクションを仕掛けながら誰が犯人なのか惑わせてくる。いずれのトリックも注意深く読むなら見通すのは可能だと思うが脅迫状の件は痺れた。狂気的な動機もポイント高し。千草検事が自説に捉われすぎてここも裏切ってくるのではと期待したがシリーズ物らしいのでそれは難しいか。 2022/11/13
はんげつ
1
一年ほど前に読んだ『危険な童話』や『影の告発』に比べたら両作品ともやや落ちるかな、と個人的には思ったが、事件の進展や新たな手がかりの出現などによって推理の迷路があちこち塗りつぶされていく転々とした話運びには魅力があった。2017/05/29
awasaka_mystery
1
この2作では断然『針の誘い』ですね。 代表作といわれる『影の告発』のトリックが現在では厳しい状況(まぁ致し方ないのですが) 千草検事が偶然かかわった誘拐事件。完璧なアリバイをいかに崩すかこれは土屋隆夫の代表作と言っても過言ではない傑作です。2016/08/02
名無しのオプ
0
円居挽『シャーロック・ノート』の一キャラの元ネタである千草検事シリーズ二作を収めた巻。この版だと登場人物表があって思考の整理がしやすいのだけれど、「意外な犯人」感がなくなってしまうのが難。探偵役の思考の筋道がほとんど開示されているため、「意外な犯人」になりようがないというきらいもありますが。しかし、結末のインパクトたるや両作ともにあり。いいもの読んだ、感がありました。共通するテーマのある作品で、このあともそこを軸にして書き継いでいったのかなあ、と思うこともあり。2017/01/05
MIRACLE
0
第三巻は失踪と誘拐をあつかった二編の長編推理小説を収録している。両作品とも、物語のなかで事件の謎が解きほぐれていき、結末が説明的でなく、安心して読むことができた。『組曲』のトリックは、私好み。『針』は今ひとつ。推理による割り算で事件を割り切り、人間の感情に余りが出るところが良い。ところで、本巻の巻末エッセイは、筆者が性器の名称を推理するという、とんでもない文章が載っていて、本当に驚いた。数取り言葉「ちゅう、ちゅう、たこ、かいな」は「キス、キス、タコ、貝」という性行為の過程を転用した庶民の知恵だった、など。2016/04/22




