出版社内容情報
大阪で鷹匠として働く夏目代助。ある日彼の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、日本海沿いの魚ノ宮町の名家・千田家の跡継ぎとして引き取られた。初めての家族や、千田家と共に町を守る鷹櫛神社の巫女・真琴という恋人ができ、幸せに暮らしていた。しかし義弟の失踪が原因で、家族に拒絶され、真琴と引き裂かれ、町を出て行くことになったのだ。葬儀に出ようと故郷に戻った代助は、町の人々の冷たい仕打ちに耐えながら、事件の真相を探るが……。第1回未来屋小説大賞を受賞した、長編ミステリ!
内容説明
大阪で鷹匠として働く夏目代助の元に訃報が届く。12年前に行方不明になった幼い義弟・翔一郎が、遺体で発見されたと。孤児だった代助は、因習が残る港町の名家・千田家に迎えられ、跡継ぎとして暮らしていたが、義弟の失踪が原因で、恋人も家族も失い、町を出て行くことになったのだ。葬儀に出ようと町に戻った代助は、人々の冷たい仕打ちに耐えながら事件の真相を探るが…。
著者等紹介
遠田潤子[トオダジュンコ]
1966年大阪府生まれ。関西大学卒。2009年『月桃夜』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。2017年『冬雷』で第1回未来屋小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
92
孤児だった代助は、古い因習が残る名家千田家に養子として入り、跡継ぎとして暮らしていたが、義弟の翔一郎の失踪が原因で、恋人も家族も失い、町を出て行くことになったのだが。義弟の翔一郎の訃報が届き、町に戻ることになる。そこで、語られることのなかった事件の真実が次々と明らかになる。日本の地方集落メステリーの伝統を忠実に継承しつつ、ミステリーとしての面白さも兼ね備え、登場人物一人一人の心理描写・感情表現が鮮烈な印象として残る、さすがは遠田潤子の筆致が冴えわたるベストの作品だ。 2021/10/28
相田うえお
89
★★★★★23024【冬雷 (遠田 潤子さん)】遠田さん作品にハズレ無し!これも間違いなしの凄い話でした。。。《概略》その地域には何百年もの昔から伝えたれた悲劇があった。人々はそれに纏わる禍いを畏れて、鷹匠による放鷹と巫女の舞を神へ奉納するという慣わしを守ってきた。神に支える鷹匠として伝統ある千田家は子に恵まれず孤児園から大助を養子に迎えて鷹匠として育てる。大助と巫女の真琴はこの神事継承から逃れることが出来ず、運命に苦しめられる。更にはある事件に隠された謎が!という感じです。最終章は特に良かったですよ!2023/04/12
のり
85
園で育った「代助」は11歳の時に地方の資産家に引き取られた。因習に囚われ封鎖的な町。そこで出会った同い年の「真琴」。千田家の跡継ぎとなった者と、神社の巫女。互いに惹かれながらも決して一緒になる事は出来ない事情。そんな折に千田家に実子が生まれるが…周囲に振り回される代助の心境を思うとやりきれない。どんなに叫んでも声は届かない。しきたりは大事だが、ここまでくると恐怖しかない。事件に次ぐ事件の数々。息詰まる世界から今度こそ自由に生きて行って欲しい。2021/05/05
アッシュ姉
84
伝統と因習に縛られた田舎町。本当にここは平成の日本なのだろうかという舞台。シチュエーションは違えど、変わらぬ遠田劇場である。鬱々とした展開に悶々としながら耐えると一気に謎が氷解する終盤が快感なのだ。文庫化にあたりラスト加筆修正されたそうだが、単行本の方が好みかも。2020/11/30
かぷち
82
なんで今まで読まなかったのかと思う程素晴らしかった、鳥肌。主人公は11歳にして伝統ある鷹匠の家に養子入りする。田舎独特の閉塞感と街に面する日本海の荒々しさが感情を揺さぶる。ヒトってこんなに愚かなのか?因習で雁字搦めの町の中で一人の人間が追い詰められていく様は迫真、やり場のない怒りが諦観へ、やがて他人事に変わっていく心理描写が凄まじく圧倒的で、ドロドロの世界観に否応なしに引きずり込まれる。誰でも何かに縛られているとは思う。そんな楔を断ち切って鷹のように自由に飛んでいきたいと願うのは間違っているのだろうか。2024/03/03
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