出版社内容情報
下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。変人シェフの三舟さんは絶品料理で客の心を?むだけでなく、客たちの巻き込まれた事件や、不可解な出来事の謎をあざやかに解く名探偵なのです。今回も、蝶ネクタイの似合う大学教師が海外研修中に経験した悲しい別れの謎、豚足をめぐる少年と母親の再婚相手との出来事など、胸を打つ話ばかり。ベリーのタルト、豚足料理、ブーダン・ノワール、タルタルステーキ……メインディッシュもデザートも絶品揃いです。
内容説明
下町のフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルはカウンター七席、テーブル五つ。三舟シェフの気取らない料理が大人気。実はこのシェフ、客たちの持ち込む不可解な謎を鮮やかに解いてくれる名探偵でもあるのです。突然姿を消したパティシエが残した謎めいた言葉の意味は?おしゃれな大学教師が経験した悲しい別れの秘密とは?絶品揃いのメニューに必ずご満足いただけます。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。93年に『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。2008年に『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞を受賞。人間心理の機微を描く筆力の見事さには定評がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
426
コミュニティで、近藤 史恵の作品に投票するため、読みました。近藤 史恵、2作目です。本書は、ビストロ・ライト・ミステリの佳作でした。オススメは、『追憶のブーダン・ノワール』&表題作の『マカロンはマカロン』です。ビストロ・パ・マルの料理はどれも美味しそうで、食べに行きたくなります。 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/97844884270612021/03/04
小梅
311
三舟シェフシリーズ3作目。 8篇の短編の中で一番好きなのは「ムッシュ・パピヨンに伝言を」かな… 美味しい物が食べたくなりました。2020/11/16
mae.dat
267
第3弾。全8話短篇。前作とは違い、全話共にギャルソンの高築くん目線の日常ミステリーとなっていました。ビストロが舞台なので当然と言えば当然の事ですが、お料理の描写が唆ります。特に空腹時はリアルにお腹が鳴っちゃいました( ໊๑˃̶͈⌔˂̶͈)。高築くんの食の拘りや、仕事への接し方も爽やかに好いですね。勿論、三舟シェフをはじめとしたスタッフ全員に言える事ではあるのですけど。解説に依ると次作も執筆している様で、次はコロナ禍の〈ビストロ・パ・マル〉の様子も描かれるみたいです。そちらも愉しみに待ちたいと思います。2023/03/22
へくとぱすかる
267
奥が深いなあ、と思う。日常系であるからこそ、人間関係の微妙さがよく現れるというべきだろうか。三舟シェフの推理というより洞察は、問題をかかえた人への大きな救いだ。肩のこらないフレンチ・ビストロを舞台にして、前の二冊にも劣らない、さらにヴァリエーションあふれる出来事を考え続ける作者にも感服。食文化や偏見など、今の最先端の問題を捉えているようだが、書かれてからの年数を思うと、解説に言われているような先見性はたしかにすごい。そして友情や家族関係の問題は、いつの時代も変わらない。2020/08/07
佐々陽太朗(K.Tsubota)
125
私は食べることが好きだが、フランス料理ではなく日本料理や居酒屋の肴といったものを好む。中華料理で酒を飲むのも好きだ。ワインよりも日本酒が好きなので、どうもフランス料理には縁遠い。それでも、本作に出てくる料理やデセールは充分おいしそうに感じられる。近藤氏はビストロを訪れる客の所作や食べものの好みで見事に人物の輪郭を描ききる。そしてその客が抱える悩み、屈託、時には悪巧みや逆に人を想う温かい気持ちなどをシェフの三舟がその鋭い洞察力で見抜き、見えなかった真相を皆の前につまびらかにする。お見事としか言いようがない。2021/06/10