内容説明
ご存じだろうか。“魔が差す”という瞬間は、たぶんどんな人にも一度や二度は訪れるものなのだ。そう、犯罪行為などとは地球とアンドロメダ星雲くらいにかけ離れている駒子にさえ、その瞬間は突然やってきたのだから。クリスマスにひいた風邪が軽快し、空はすこんと晴れ上がった大晦日、出かけたデパートであるものに目を奪われたばかりに、息が止まりそうな思いをした駒子は…。
著者等紹介
加納朋子[カノウトモコ]
北九州市生まれ。文教大学女子短期大学部文芸科卒業。92年、「ななつのこ」で第3回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。95年、「ガラスの麒麟」で第48回日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
180
『僕が言いたかったのは、手紙というものは必ずしも事実のすべてを伝えはしないってことさ』。駒子シリーズ第三作として今から20年も前に刊行されたこの作品。そこには二つの短編がセットで魅せる物語の姿がありました。〈スペース〉に描かれる手紙が読書に曲者なこの作品。〈スペース〉にただひたすらに記述されていた手紙の背景事情が〈バックスペース〉で鮮やかに解き明かされていく二つで一つのこの作品。いつか集中力を切らさずに再読したいと思うものの恐らく手にすることはないかなとも思う、私にとって苦い読書の時間となった作品でした。2024/10/29
hiro
155
加納さんのデビュー作『ななつのこ』が面白くて、『魔法飛行』を読んだが少しがっかりだった。しかし、読メの中で薦められてシリーズ3作目も読むことにした。『スペース』は書簡体小説のためもあってか、あまり面白みを感じず惰性で読んでいて、まったく叙述トリックに気付かなかった。完敗でしたw 一方、『バック・スペース』は、シリーズのスピンオフ作品として、外から駒子と瀬尾が見れて、これはこれで面白かった。でもやはり、読者として期待するのは、駒子の周りでおこる謎を瀬尾が解くというシリーズの王道をいくシリーズ完結編だと思う。2012/10/19
kishikan
144
短大生駒子さんシリーズ3作目。「ななつのこ」「魔法飛行」の圧倒的構成力と巧みな文章に心惹かれ読み続けてきました。主人公駒子さんの生活を通した乙女心の揺れ、そして文通相手の瀬尾さんの謎解きなど、加納さんは2作共異なる構成で楽ませてくれました。しかし驚くなかれ、「スペース」はまたまた異なる構成。今回は、駒子さんも瀬尾さんも裏方に回り(途中までは駒子さんは?って思わせます)、表舞台は駒子さんのお友達。ラストは、心のよりどころ(スペース)を探り当てる、愛と感動に溢れる美しい物語です。前2作を凌ぐ出来、素晴らしい!2012/02/20
ダイ@2019.11.2~一時休止
136
駒子その3。ひとつの物語の表と裏って感じの2編。怪しい手紙はうまくまとまったが、ハヤミの解釈はそれであってるの?2014/09/17
ユメ
135
対のような表裏のような二つのラブストーリー。二篇の繋がりがまた美しいミステリーになっている。自分が空っぽな人間なんじゃないかという焦りが私にもある。でもそれが、わざわざバックスペースキーを打って作り出した、これから未知のもので埋めていくスペースだとしたら?謎解きはもちろんのこと、そんな答えをそっと差し出してくれるから、このシリーズが好きだ。駒子と瀬尾さんが素直に羨ましい。実際のところ涙は流していないのに、思い切り泣いた後のように心地良い清涼感と安堵感のある三冊目だった。四冊目、いつになっても待っています。2015/06/05
-
- 和書
- 陶酔映像論