出版社内容情報
拓未に告白されたとき、菜月の人生三度目のタイムリープが始まった。この状態に陥ると、菜月は同じ一時間を五回繰り返す。つまり菜月は、このあと拓未に五回告白されるはずだった。しかし一回目、告白の場所に向かおうとした菜月の目の前で、拓未は屋上から墜死する。一体何が起きたのか? チャンスはあと四回、それまでに彼の死を止める方法を、絶対に見つけなければ。女子高生が文化祭中の校舎を駆け巡る、鮮やかな学園ミステリ。
内容説明
高校の文化祭当日、菜月はクラスメイトの拓未に告白された直後、人生3度目のタイムリープに巻き込まれた。この状態になった菜月は同じ1時間を5回繰り返し、最後の出来事が確定事項となる。その1回目、菜月に告白する前に拓未は転落死してしまう。何が起きたのかわからぬまま、菜月は残り4回で拓未が助かる未来を掴もうと奔走するが…鮮烈な学園タイムリープ・ミステリ。
著者等紹介
彩坂美月[アヤサカミツキ]
山形県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。『未成年儀式』で第7回富士見ヤングミステリー大賞に準入選し、2009年にデビュー(文庫化にあたり『少女は夏に閉ざされる』と改題)。12年には『夏の王国で目覚めない』で第12回本格ミステリ大賞候補、21年には『向日葵を手折る』で第74回日本推理作家協会賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うまる
42
タイムリープミステリの快作。目的があって過去に戻るのではなく、予期せぬループが始まったせいで本来死ぬはずではない人が死んでしまうという展開がとても面白いです。何故変わってしまったのか、分岐点はどこなのか。五周目が確定回と決まっているので、回を重ねる毎の焦りや回避できないもどかしさがヒシヒシと伝わってきます。最終ターンの緊迫感と青春物らしい解決方法は見事。これこそ時間物の醍醐味という感じの伏線回収も良くできています。学校物のタイムリープミステリでは、綾崎隼さんの『君と時計~』以来のクリティカルヒットでした。2021/06/04
coco夏ko10角
27
タイムリープ・ミステリー。めっちゃ面白い。まず菜月の子どもの頃の初めてのタイムリープにドキドキ。そして高校生になり文化祭当日に同級生・拓未から告白された後リプレイが、しかしなぜか拓未は転落死し…。どうしたら拓未が死ぬ結末を変えられるのか?と色々探るもうまくいかない焦りともどかしさ。最後のリプレイで菜月が選んだことがいい。ミステリーもだけど、文化祭・友情・恋愛と青春もすごくよかった。2022/07/16
ツバサ
21
素晴らしい青春ミステリー。小さな頃にタイムリープが生じることで混乱して、周りに信じてもらえずに気持ちに蓋をしていた主人公・菜月が悩んだり迷ったりしながらもクラスメイトの死を回避するため奔走する姿に釘付けにされます。事件の真相に近づいていくうちに菜月が成長していくのも良いです。ブログにて→ https://wing31.hatenadiary.jp/entry/2021/05/01/2100002021/05/01
きょん
20
予期せぬタイムリープに巻き込まれた幼少時のエピソードが大変切ない。前半の高校時代の人間関係の複雑さも皆心当たりがあるんじゃないかな。後半タイムリープが始まってからの展開もスピード感があり一気に読めた。2021/06/07
よっち
18
同じ一時間を五回繰り返すタイムリープを過去に経験し、無難に生きることを選択した女子高生の菜月。そんな彼女が文化祭で同級生の拓未に告白され、繰り返すはずのループで墜死した拓未を目撃してしまう学園青春ミステリ。無難に周囲に合わせてきた高校生活のいきなりの暗転。拓未の墜死に動揺しやり直しで何とか救おうとするものの、毎回違う形で失敗し死なせてしまう絶望。親友とのすれ違いが周囲との人間関係も少しずつ変化して、誰も彼も疑わしく見える中で自分から勇気を出して一歩を踏み出し流れを変えてゆく展開はなかなか良かったですね。2021/04/28