出版社内容情報
高校野球界のスーパースターがガソリンを全身にかけられ焼死するというショッキングな事件が起こった。たまたま事件現場に行き合わせた弟の進也と、蓮見探偵事務所の調査員・加代子、そして俺――元警察犬のマサは、真相究明に乗り出す。社会的テーマと卓抜な人物描写で今日を予感させる、鬼才・宮部みゆきの記念すべき爽快なデビュー長編を新装版で贈ります。
内容説明
元警察犬のマサは、蓮見家の一員となり、長女で探偵事務所調査員・加代ちゃんのお供役の用心犬を務めている。ある晩、高校野球界のスーパースター・諸岡克彦が殺害された。その遺体を発見した加代ちゃん、克彦の弟である進也、そしてマサは事件の真相を追い始めるが…。幅広いジャンルで活躍し、わが国の文壇を代表する作家の一人である宮部みゆきの記念すべき長編デビュー作。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年、東京都江東区生まれ。87年、「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、『火車』で山本周五郎賞、『蒲生邸事件』で日本SF大賞、『理由』で直木賞、『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、『名もなき毒』で吉川英治文学賞受賞。ほかに司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
85
【2021年色に繋がる本読書会】【月イチテーマ イロ】作者の長編デビュー作。女性私立探偵と元警察犬という異色の主人公。未来を嘱望されていた高校球児殺人事件の裏側に隠された、営利主義・利己主義にまみれた大人の闇世界。知らず知らずのうちに利用されていた子どもたちが、あまりにもかわいそうだ。2021/03/18
nakanaka
79
蓮見探偵事務所の調査員たちと元警察犬のマサが高校球児殺人事件の真相に迫っていくという内容。非常に重たい内容と結末でした。ある悪巧みにより罪の無い人達が不幸な末路を遂げていく様は読んでいて苦しいものでした。犬であるマサの目線で描かれるという斬新な構成と厚みのあるストーリーに引き込まれました。犬という動物は喋れないだけで実はここまで人間社会について理解出来ているのかも、と思わせてくれる夢のある話でもありましたね。色んな意味で楽しめました。2021/02/11
ま~くん
62
高校野球の天才投手が焼死体で発見される。凄惨な事件の背景には「パーフェクト・ブルー」が大きく関係していた。俺こと元警察犬のマサは天才投手の弟達と共に真相を追い始める。有り得ない話ではないなと思える所が結構恐ろしい。一度歯車が狂うと徹底して組織防衛に走るのは今も昔も変わらない。真犯人が取った行動は断じて許されるものではない。でも自分がその立場に万一立たされたら、絶対にやらないと言えるかどうか。犯人の独白には身をつまされる。宮部みゆきの長編第一作は読み応え十分でした。でも自分の一番はやっぱり「火車」です。2022/10/10
三代目けんこと
54
「創元推理文庫」区切りの第10弾は、宮部みゆき。安定安心の宮部本。この約1箇月で創元推理文庫の積読本を10冊読破!!しかしまだまだ先は長い…。では次へ…。2021/08/18
タツ フカガワ
54
父娘で営む探偵社の加代子が家出少年の捜索に。その調査中加代子は、家出少年の兄で高校野球のスーパースターの遺体を発見する。宮部さん初の長編作品(1989年)は、元警察犬で引退後に探偵社で調査犬かつ用心犬として飼われているマサの視点で語られる、という設定なので甘く見ていました。やはり宮部さん、結構重い真相が待っていました。出番は少ないもののバーのマスター椎名、存在感がありますね。2021/07/11