内容説明
弁護士事務所に出向を命じられた探偵社の「私」は勝ち味の薄い難件に直面、低予算と人員不足にあえぎつつ、いるとも思えない証人探しに奔走するが―表題作など九編を収録。
著者等紹介
天藤真[テンドウシン]
1915年8月8日東京生まれ。東京帝国大学国文科卒業。同盟通信記者を経て、戦後は千葉県で開拓農民となる。1962年“宝石”誌に「親友記」を応募し佳作入選。1979年『大誘拐』で日本推理作家協会賞を受賞。1983年1月25日死去
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coco夏ko10角
20
9つの作品収録の中短編集。表題作『雲の中の証人』殺人があったとき上空を飛んでた飛行機を…って最後そうするのか。あと『公平について』『あたしと真夏とスパイ』が印象に残る。2021/01/24
MIKETOM
6
短編集だが平均点は70点そこそこ。どこかしら不満が残るものが多かった。その中では表題作『雲の中の証人』がまあまあ。アリバイを証明するのにその時間に遥か上空を飛んだ飛行機の乗員の証言を求めるというストーリー。一見荒唐無稽に思えるがラストは納得のいくもの。ただしまあ、これは反則でしょ(苦笑)『公平について』は読んでて気分悪かった。判事ってここまでノータリンなのか?『私が殺した私』『鉄段』『めだかの還る日』はなんだかよくわからないし面白くもない。『逢う時は死人』はまあまあかな。一番天童作品っぽい。2019/03/31
タリホー
6
警察の誰もが有罪と判断した殺人事件の被告のアリバイ証明の為、途方もない証人探しをする表題作ほか、警察・検事を煙に巻こうとする泥棒のユーモアが印象に残る「公平について」、二枚目大学助教授と惚れた女子大生の悲喜劇「あたしと真夏とスパイ」等の9編を収録。表題作は逆転不可能と思える事件に挑むというある意味定番のプロットなのだが、一見闇雲に思える証人探しが、現実的且つ論理的なものだという点が面白いし良くできている。社会的弱者を尊重する著者の意志がうかがえる「赤い鴉」「或る殺人」もストーリーとその結末が秀逸だった。2016/12/14
Tetchy
6
本作は天藤版リーガル・ミステリ集とでも云おうか、9編中5編が法廷を舞台にしたミステリでそのどれもが傑作。設定から結末まで一貫してユニークな「公平について」はもとより、中篇の表題作の何とも云えない爽快感。天藤真はシンプルな題名によくダブル・ミーニングを持たせるが本作もそれ。それがさらに効果を上げている。そして「赤い鴉」、「或る殺人」の哀愁漂う結末。ドイルの短編「五十年後」や島田の『奇想、天を動かす』などに見られる膨大な人生の喪失感を思わせる深い作品となっている。まだあればこのシリーズを読みたい。2009/07/09
シロくますけ
1
表紙絵に騙されると嫌な気分になります。 9編の短編集 「雲の中の証人」う~んなんだろ。なんか登場人物が好きになれないせいか、読むのに手間取った。けど頑張ったよ!なんとか読みきったよ!!最後は斜め読みだったけど。 「赤い鴉」「或る殺人」松本清張風の作品。2021/09/21