内容説明
私は最上俊平、私立探偵である。ハードボイルド小説を愛する私は、決してペット探偵ではないのだ。だが、着物姿も麗しい若い女性とヤクザから、立て続けに猫捜しの依頼が。しかも、どちらの猫もロシアンブルー!?なりゆきで雇うことになった秘書に、独自に習得した猫捜しの極意を伝授し、捜査は順調に進むはずが…。名作『ハードボイルド・エッグ』の続編、いよいよ文庫化。
著者等紹介
荻原浩[オギワラヒロシ]
1956年生まれ。97年『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で第18回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なこ
116
ハードボイルドエッグの続編。猫探しのくだりが少々長く感じたけど、後半に段々面白さが増してきた。今回は主人公の生い立ちや、恋愛模様などが絡み、ホロリと切なさも感じた。それと、やはり楽しさも感じさせてくれて、最後の1行も面白かった!やっぱりそういう意味なのねって^^;2017/02/25
セウテス
93
ハードボイルド・エッグ第2弾。フィリップ・マーロウに憧れ、ハードボイルドな探偵 こそが自分の天職と信じる探偵の物語。しかし相変わらず、ペット捜索の業務に日々過ごしている。本人は明確に否定しているが、ペット捜索の腕前というか専門知識は見事なものである。所々に語られる、本家チャンドラー氏の作品の引用は、読んだ人にはたまらないニヤリ感がある。今回は、青い瞳にナイスバディな帰国子女を新たな秘書に、ロシアンブルーの捜索に当たる。前作の秘書の綾さんが剰りにも良かった為、本作の評価は辛めになるが、気に入ったシリーズだ。2018/11/27
まさきち
86
マーロウにあこがれる探偵の最上。しかし持ち込まれる依頼はペットの捜索ばかり。そんな彼が突然預かることとなった助手とともにしっかりと自分のやるべきことをこなし、半ばで浮かび上がってきた問題をきっちりと解決していく。今作も前作同様、最上の理想と現実のずれっぷりに大いに笑わせてもらいました。ただし前作に比べ助手の女性(茜?葵?)との絡みが少々希薄だったのが残念だったものの、全体としては大いに楽しめた作品で、解説の最後に語られてた一文「最上さん、アンタかっこいいよ!」と言いたくなる一冊でした。2018/06/14
shizuka
64
前作の方が断然面白かったなあ!やっぱ綾さんの功績は大きい。今回も結局失踪ペット捜索になっちゃった探偵さん。けれど、そのペット失踪には裏がある。関わってる人間はきな臭い人たち。必ず出てくるその筋の人。次回は一般人の間での事件を解決してほしいな。恋に報われないのは、まるで車寅次郎のよう。気障な言葉で本音をごまかしたりするところも、寅さんみたいじゃん。そしてとびっきり優しいところもね。報酬度外視で「正しさ」を選択する人間性、日本人に合ってると思う。だから好まれ、多くの読者を虜にするんだろうな。第3弾はいつかな?2016/12/19
佐々陽太朗(K.Tsubota)
58
フィリップ・マーロウを我が心のヒーローとする人間にはたまらない小説です。読む所々で主人公・最上俊平の台詞にニヤリとさせられます。丁度、主人公・最上俊平とバー「J」のマスターとの会話の中でチャンドラーを引用し、お互いの波長が共鳴するように。事件はたかが猫探しである。しかし事件の解決にあたって安きに流されることなく、他に迎合せず、ここ一番でやせ我慢する主人公・最上俊平の生き様は、たとえそれが周りの者には滑稽に写っていたとしても、切ないほどにハードボイルドしている。2010/07/24