内容説明
因果な来歴から幽霊塔と呼ばれるその塔で、北川光雄は宿命的な出逢いをする。鄙にはまれな麗人、野末秋子の凄絶とさえ映る美相に心は乱れて、文目も分かぬ恋路の闇を惑い歩く。数奇な境涯にあるらしき懸想人に妻問を拒まれるも愛染断ちがたく、私情を捨てた献身を誓うのだったが―。全編を彩る計り知れない謎、金銀財宝を秘めた西洋館を舞台に展開する波瀾万丈の翻案大ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いたろう
67
時計の内部が謎に包まれた迷路になっている西洋建築の時計塔にして、幽霊が出ると噂される、通称、幽霊塔。このイメージだけで、ゴシックホラーめいて、ゾクゾクするものを感じるが、この小説も乱歩のオリジナルではなく、イギリスの小説「灰色の女」を翻案した黒岩涙光の「幽霊塔」を元にした小説。最後の謎解きで、アリバイの話が吹っ飛んでいたり、ミステリとしては、幾分、粗があるものの、恋愛要素もある怪奇ロマンは魅力十分。この小説に魅了された宮崎駿が、この幽霊塔からカリオストロの城のビジュアルイメージを考えたというのが興味深い。2018/06/10
ホームズ
25
久々に再読。黒岩涙香の『幽霊塔』は未読、原作の『灰色の女』の方と比べるとやはり江戸川乱歩の作品の方が良いですね。しかし書かれた時代もあるんですが容姿とかで相手を見下したような発言があったり、決めつけた感じがあるのはあまり良くないかな。栄子や黒川など悪役のキャラクターが良かった。まあ最後にあっさりな気もするけど楽しめるので良かった。2015/04/03
こふく
21
原作も涙香翻訳も未読ですが…さすが乱歩大先生の「大怪奇探偵小説」だけあって雰囲気も語り口も最高。やはりポーを連想させたりと、たまりません!そしてわかりやすい。子供や読者苦手な為でも楽しめそう。しかも本格で面白いって、素晴らしい。2020/04/23
旗本多忙
20
長崎県の片田舎にある不気味な西洋館。6年前に持ち主が殺されるという事件があった。その後、幽霊とか化け物屋敷などと呼ばれた西洋館を、元判事の児玉氏が土地ごと買い取った。甥の光雄は下調べに行った西洋館で、野末秋子といういわくありそうな絶世の美女と出会う‥‥西洋館に隠された秘密とは、6年前の真相はいかに‥‥分厚い割には小気味よく読めて面白い作品だった。しかし、そこまで女に惚れたいのかねえ(笑)2017/08/04
Kouro-hou
18
何故かミステリだと思って読み始めて数頁で過ちに気づいたロマン小説。大好きな黒岩涙香『幽霊塔』を遺族の許可を得て翻案したということでノリがよく、連載時期の重なる『少年探偵団』的な冒険小説なところも多い。舞台を日本の長崎に移し、からくり好きが作った建物という設定になっているが、日本家屋としては相当無理はあるw 主人公は一応好青年でありがちなんだけれども、結構ワガママで選り好みがあり妄想激しく、さらに無鉄砲でよく閉じ込められる、けどモテモテという辺りが主人公補正バリバリである。ジブリ映画版、観たかったですね。2016/08/16
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