内容説明
東京の大宝石商の一家を恐怖のどん底へと突き落とす無気味な数字の通信。日一日と減っていくその数は、いったい何を意味しているのか。一家に異常なまでの復讐心を抱く怪人〈魔術師〉とは何者?玉村家からの依頼を受けて保養先から帰京するなり、賊の手にかかって誘拐された名探偵明智小五郎の運命やいかに。壮絶な結末に至るまで、息つく間もなく展開される波乱万丈の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
107
面白かったです。異常な復讐心に燃える魔術師との対決とも言える作品だと思いました。起こされた殺人事件も単なる凶暴な狂気的殺人ではなく、演出が素晴らしいです。死体玩弄というのが乱歩らしいというか、乱歩好みのような気がしました。意外な犯人と共犯者で幕を閉じたのも、発表当時の読者にとっては驚きだったことでしょう。所々の挿絵も物語を盛り上げているのがいいですね。壮絶な結末まで息をするのも惜しいほどのめり込みました。2016/11/24
セウテス
54
〔再読〕素人探偵明智小五郎が、『蜘蛛男』との対決を経て、名探偵と呼ばれる様になる頃の事件です。東京創元推理文庫には、作品出版当時の挿し絵が各章に載せられていて、江戸川乱歩氏のおどろおどろした世界観を感じる事ができます。正体不明の怪人と明智小五郎との対決は、文句なく面白いものです。多少の違和感など、全く関係ない力強さに溢れているのです。そしてこの作品は、最初から「魔術師」との対決である事が分かっています。しかし結末は一筋縄では行きません。密室の謎や明智の妻となる女性との出会いと、見所満載のわくわく作品です。2014/10/22
さっちゃん
50
綾辻行人氏×有栖川有栖氏『ミステリ・ジョッキー』の課題図書ということで、予習として読了。「魔術師」相手に明智小五郎が出し抜き出し抜かれ、手に汗握る展開で面白かった。出版当時の挿し絵も良かったし、連載当時の次回予告もすばらしい! 当時の読者はさぞかし次が待ち遠しかっただろうなぁ。2021/11/18
いたろう
48
「蜘蛛男」に続く明智小五郎シリーズ。今度の敵は、魔術のように不可能とも思える犯罪を行う「魔術師」。蜘蛛男が、ただのシリアルキラーだったのに対し、魔術師は、殺人の動機がちゃんとあることになっているが、それでも、関係ない人間を無茶な方法で殺してしまったり、結局、乱歩はおどろおどろしい殺人場面が書ければ良かったのか。突っ込みどころは多いものの、魔術的な犯罪にも強引ながら、ちゃんと説明がつけられたり、予想外のどんでん返しがあったりと、後半は意外に楽しめた。それにしても、明智夫人、文代の初登場がこんな形だったとは。2017/11/25
かな
46
約50年前に起きた痴情のもつれによる殺人事件の復讐をその息子となる魔術師が約40年かけて行う執念の復讐劇、死してなおその復讐劇を成し遂げようとする。そして意外な共犯者。犯罪に使われたトリックは、かなり無理があるし、万人の前での人体解体などさらっとかかれてはいるがかなり猟奇的な内容も含まれている。そして後に明智小五郎の奥さんとなる文代さんとの出会い。本文に素人探偵明智小五郎と書かれているが確かに文代さんがいなければ何回死んでたか。でもそれを補って余りある冒険活劇でした。2022/10/25
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