内容説明
本巻には、鬼才小栗虫太郎の創造した名探偵法水麟太郎ものの代表作、「後光殺人事件」「聖アレキセイ寺院の惨劇」「オフェリヤ殺し」そして無論のこと、わが国探偵小説中最大の奇書とも評される大長編『黒死館殺人事件』に、小栗探偵小説の出発点ともいうべき「完全犯罪」を加え、松野一夫画伯による初出時の挿絵を残らず収録した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さっとる◎
37
【再読祭】終わった!「黒死館」のみ再読で短編は初読。喉元過ぎれば何とやらで一回読んだしいけるやろ、と。しかし短編からもうわからんかった!黒死館は何回読んでも迷子になるなあ。光る死体の謎を追及するうちに人形は歩きだし、住人が一人消え謎は増え精霊が現れ。法水が事件の説明に太陽説やら金字塔(ピラミッド)前象形文字やら持ち出した挙げ句、室内に金星やら水星やら内惑星軌道半径が出現するくだりは2回読んでも面白い。必死に追いかけて、あれ、そもそもこれ何⁉何の話⁉今何中⁉を果てしなく繰り返してる間にまた事件が(笑)。2016/12/11
ちぃ
30
『黒死館』目当て。なんとか年内に読み終わった!ですが、これほどのページ数を繰ったのに何言ってるか最初から最後までわからず、つらかったー!!!これは探偵小説の皮をかぶった魔導書です、趣味の本です( ;∀;)ドグラマグラなんかよりよっぽど精神に支障をきたすかと思ったよ???もう多分二度と読まない(笑)でも、こういう本が出版できた当時の日本ていいなぁとも思うのです…。(おっと…意味不明すぎて感想の書きようがないので話が違う方向へ…)子どもの頃に読んでたらトラウマレベルな味のある挿絵も好きです。2016/12/31
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
29
いわゆる奇書のジャンルとされる作品。黒死館という人里離れた古い洋館で起きる連続殺人事件。礼拝堂や魔術妖術の本が揃う図書館がある怪しげな館に、外に出たことがないという四人の西洋人。さぞや血みどろの殺人事件が、と思う読者の期待はことごとく裏切られるのだ。殺人事件はあるのだが、普通の小説みたいに恐ろしい死に様が描かれることは少なく、脈々と虚しい論理が語られる。山場は何時までもこない。魔術妖術占星術の熱弁。入った事が無いけど、温泉にある秘宝館とはこの様な物だろうか。読書会課題書。2016/07/04
有理数
19
三大奇書読破計画はこの本に収録された『黒死館殺人事件』をもって終わりを迎えました。その他短編中編を収録した一冊。読書生活の中でこれほど巨大で圧倒的な重力に苛まれた読書は経験がありませんでした。とにかく疲れました。凄惨な死体の発見による事件の発生、名探偵の推理という流れがあるはずなんですが、文字と言葉が読み手に入り込むまでにたくさんの手解きが必要な感覚。飲み込まれます。これを相手取るには一生涯掛ける必要があると思います。「完全犯罪」「聖アレキセイ寺院の惨劇」は面白く読みましたが『黒死館』はまさしく奇書です。2015/04/03
LUNE MER
14
黒死館は再読、全体を通読したのは初。小栗虫太郎の作品とは相性が合わないためか、内容がなかなか頭に入って来なくて、黒死館に至っては殺人の発生から真犯人まで、「あれ?いまそんなん書いてあったっけ?」とページを遡ることもしばしば。衒学的なミステリーという点でヴァン・ダインの影響を大きく受けているらしいのだが、ヴァン・ダイン作品の持つ、読者を引き込む「面白さ」には欠けるように感じてしまった。面白いんですよ、ヴァン・ダインは。あのグイグイ引き込まれる面白さは別格だということを再認識してしまった。2020/05/14