出版社内容情報
傑作短編12編を収録した最終巻ではレンデル、ハイスミスといった一線級のクライムストーリイ作家の紹介から、英国の書き下ろしアンソロジー〈ウィンターズ・クライム〉の隆盛と、シリーズキャラクターの台頭を一因とするMWA賞の「没落」を語り、終章では編者が二十世紀最高のミステリ短編と断じるブランド「ジェミニー・クリケット事件」米英ふたつのバージョンを精緻に分析する。前代未聞のアンソロジーにして評論書、ここに完結。
内容説明
最終巻にはレンデル、ハイスミスといった作家の秀作や、イギリスで存在感を示した書き下ろしアンソロジー“ウィンターズ・クライム”の優品、MWA短編賞作家の傑作など全12編を収録する。編者が20世紀最高の短編ミステリとするブランド「ジェミニー・クリケット事件」は、史上初めてアメリカ版とイギリス版を2編同時に収めた。前代未聞のアンソロジーにして評論書ここに完結。
著者等紹介
小森収[コモリオサム]
1958年福岡県生まれ。大阪大学人間科学部卒業。編集者、評論家、作家。著書・編書に『はじめて話すけど…』『本の窓から』『ミステリよりおもしろいベスト・ミステリ論18』等がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
最終巻が出ました。わたしは5巻で終わったのかと思いましたがこれが出たのですね。この巻では以前北村薫さんが敷衍していた、クリスチアナ・ブランドのアメリカ版とイギリス版が収められていて、また小森さんの解説にも懇切丁寧な分析がありました。かなり楽しめます。またパトリシア・ハイスミスやローレンス・ブロックの作品もいつもながらいい味です。2022/01/29
cinos
46
2月に読了。 「ジェミニー・クリケット事件」とその解説がよかったです。2022/02/28
本木英朗
33
いよいよ最終巻である。レンデル、ハイスミスといったクライムストーリイ作家の秀作や、短篇市場の限定された英国で存在感を示した書き下ろしアンソロジー叢書の優品、そして編者が20世紀最高の短編ミステリだとするブランド「ジェミニー・クリケット事件」アメリカ版とイギリス版の両方など多くの短篇が出ているのだ。いやはや、大満足でした。またいつか、1巻から読もうと思う。2022/05/26
みつ
32
このシリーズの最終巻。末尾のクリスチアナ・ブランドの「ジェミニー・クリケット事件」は編者が「二十世紀最高の短編ミステリ」(p563。ということは、「帰還」以降のホームズも含めた最高作)と位置付けるもので、米英版の両者を掲載し、その異同も含め詳細に論じている。全篇の締め括りとして解説の力の入れようをひしひしと感じる。この捉え方はこの6冊にわたるアンソロジー、及び詳細かつ浩瀚な解説に一貫するものだろう。ミステリの範囲は広がり、我が貧弱な読解力を顧みず言えば、ある種思わせぶりな記述に苦労させられる作も多かった。2024/08/03
阿部義彦
28
やったー、このシリーズもとうとう最終巻となりました。この巻には、私が大好きで、他にも長編を含めて既に幾つか作品を読んでる(トム・リプリーシリーズ、見知らぬ乗客、傑作短編集の11の物語等)パトリシア・ハイスミスの初読の短編『またあの夜明けがくる』が収められて、児童虐待を扱っての相変わらずの癖になるイヤミスで良かった。他に犯罪の起きないクライムストーリー『家族の輪』も秀逸。ラストの編者の最高傑作とする『ジェミニークリケット事件』〈米版〉〈英版〉も、傷は有るけど、意外性を持つ物語構造では、成程と唸りました。2024/07/07
-
- 和書
- 帽子 文春文庫