出版社内容情報
江戸川乱歩編『世界推理短編傑作集』とは異なる観点から短編ミステリの歴史をさぐる、刺激的で意欲に満ちたアンソロジーの第二巻。1920年代から50年代にかけての都会小説、ハードボイルド/私立探偵小説、謎解きミステリの逸品を通して、進化と発展の過程を概観する。ハメット、チャンドラー、スタウト、アリンガム、クリスピン、ヴィカーズなど錚々たる作家の11短編をすべて新訳で収録し、巻末には編者・小森収の評論を掲載した。
内容説明
本アンソロジー第2巻では、1920年代から50年代にかけて書かれたさまざまなジャンル―都会小説、ハードボイルド/私立探偵小説、謎解きミステリ―の逸品を通し、短編ミステリの発展と多様化を概観する。ハメット、チャンドラー、スタウト、アリンガム、クリスピン、ヴィカーズなど錚々たる作家による全11編をすべて新訳で収録。巻末には第1巻に続き、編者の評論を収めた。
著者等紹介
小森収[コモリオサム]
1958年福岡県生まれ。大阪大学人間科学部卒業。編集者、評論家、作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
118
あまり他の本には収められていないような作品が11作あります。私の好きなハメット、チャンドラーなどその他スタウト、ヴィカーズなどがあり今から100年近く前のアメリカなどの事情が分かります。ただほかの方も書かれているのですがこの暑い本の約5分の2を占める小森収さんの評論が別冊となってくれると嬉しいのですが。内容は非常にしっかり分析されていて興味があるのですが。分けると売れないのでしょうね。2020/05/14
藤月はな(灯れ松明の火)
78
ハードボイルドが多めな巻。「挑戦」の甘酸っぱい青春がくるりと変わる一瞬や「チャーリー」の矯めてからのすっきり感が良い。また、「待っている」の意外な読み方に目が点。個人的にエドマンド・クリスピン「闇の一撃」がお勧め。エドマンド・クリスピンと言えば、可愛らしい動物と愉快軽妙な会話が楽しいミステリー作家なのですが「闇の一撃」は短いながら人間の心にある澱みや企みを純正ろ過した作品です。その後を思うとこれほどまでに恐ろしく、ビターな後味はない。シャーリー・ジャクソンの「くじ」が実話だと思われていたのはさもありなん2021/04/16
cinos
50
1巻と違いハードボイルド系が多いです。人間百科事典、ストライキでクローズドサークルになるって思っていたより面白かったです。ネオ・ウルフは風格があり、「闇の一撃」のトリックは今でもよく使われています。「二重像」が最後までどうなのかわかりませんでした。解説は相変わらず軽快で、どの短編も読みたくなりました。2020/04/25
燃えつきた棒
40
ボルヘス、ビオイ=カサーレスの『ドン・イシドロ・パロディの六つの難事件』があまりにもつまらなかったので、こんなはずはないなとの思いに駆られた。 ミステリにだって、もっとずっと面白い作品がたくさんあるはずだとの思いを胸に読んだが、今回はそれほど面白い作品は見つからなかった。 ダシール・ハメット「クッフィニャル島の略奪」、レイモンド・チャンドラー「待っている」、レックス・スタウト「探偵が多すぎる」などもあったが、それほどとは思わなかった。 冒頭のバッド・シュールバーグ「挑戦」の白い航跡が眼裏に残った。/2023/09/10
ネコベス
36
1920年代~1950年代に書かれた短編ミステリ11篇を収めたアンソロジー。小森氏の情熱的な評論は力作だとは思うが200ページ以上も使うのなら評論だけ別冊にしてその分評論内で触れられていたヘンリー・ウエイドやブレット・ハリデイ等の作品を収録してほしい。武装強盗の襲撃をコンチネンタルオプが迎え撃つダシール・ハメット「クッフィニャル島の略奪」、ウルフとアーチ―が逮捕されてしまうレックス・スタウト「探偵が多すぎる」、犯人らしい人物は判明しているのに確証がなく警察が歯噛みするロイ・ヴィカーズ「二重像」が良かった。2020/05/17