内容説明
静かな湖を横切るようにのびた岬に、その家はたたずんでいる。円柱形の外観で、茶色のスレート屋根は円錐。屋内でも円を基調とした設計は続き、遠近感を狂わせずにおかない。第一次世界大戦直前に建てられたこの異形の家は、奇妙な来歴に彩られていた。そして今、疑惑と不思議が交錯する新たな悲劇の幕があがる。亡き妻への切ない語りかけが恐ろしい物語を紡ぐ、鬼才の離れ業。
著者等紹介
越前敏弥[エチゼントシヤ]
1961年生まれ。東京大学文学部卒業。英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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遥かなる想い
55
天性のストーリーテラーと呼ばれたゴダードの話が面白くなくなって、どれだけ経つだろう。今度こそと期待したが、本作もよくない、と思う。消化不良以前の問題では。2010/06/06
アヤネ
5
サッカー観戦で忙しく、合間に読める1冊完結の本を選んだ。「第一次世界大戦直前に建てられ、忌まわしい来歴に彩られた奇妙な石造りの家」という大好物な館もの。。。中盤まではワクワクドキドキだったが、ラストがちょっと雑かなぁ。謎の解明が中途半端だった。でもゴダードだし、文章が抜群に上手いので、面白く読めた。サッカー済んだら話題の長編を読むつもり。当分私のゴダード熱は冷めないだろう。2014/07/12
うえぴー
3
『千尋の闇』(大傑作!)、『閉じられた環』(凡作)につづき、ゴダード3冊目の挑戦。忌まわしい館「アザウェイズ」を舞台に、妻を転落事故で亡くしたトニーが、館に秘められた謎を追う作品。ゴシック風のスリラーと、終盤に明かされる陰謀がいま一つ有機的に結びついていない点と、妻の転落事故の真相がラストでもったいぶったヒントが提示されているものの、読み返して伏線を探そうと思わせるほどの魅力的な謎になりえていない点が不満。個人の悲劇と国家の機密が、水と油になってしまっている感が拭えず、ゴダード作品としては凡作かな。2013/01/27
聖月
3
〇物語の前半は、少し文学的で暗い。展開にスピード感がない。妹夫婦の屋敷や、その周りの住人の描写を読み進めることとなる。ところが、中盤から終盤にきて、俄然スピード感が増すのである。そのスピードに乗って、一気に最後まで読み終えた評者。なんと、最後の最後で、肝腎なあの事が!!!って、その意味が全然わからなかった。自分はアホなんだろうか?おお!これは凄い落ちがあるぞ!と期待して読んだ評者。間違いなくあった驚愕の事実=落ち。でも、その意味がわからんのだ??自分は多分、アホなんだろう。最後に編集部付記として、その落ち2003/10/05
こみっく
2
不慮の事故で妻を亡くしたトニー。招待された義妹と親友夫婦の家に起こる不可思議な現象。そしてその家でかつて起こった悲劇。さらに核技術をめぐる国際的な陰謀。と話はどんどん大きくなり、巻き込まれていくトニー。妻の死の真相とは...。いろいろ盛り込みすぎで最後は肩透かしな印象。コーンウォールの風景が美しい。 2019/03/21
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- 和書
- さして重要でない一日