内容説明
イザベルは、古都エディンバラに住む、知的で好奇心溢れる女性哲学者。彼女が主宰する“日曜哲学クラブ”は一度も開かれたことがないという不思議なクラブだ。ある日、劇場の天井桟敷から若い男性が墜落するのを目撃した彼女は、長年の哲学的思考で培われた優れた観察力をたよりに若者の死の謎を探るのだが…。寄り道だらけの知的な冒険。女性哲学者の素人探偵シリーズ開幕。
著者等紹介
柳沢由実子[ヤナギサワユミコ]
1943年岩手県生まれ。上智大学文学部英文学科卒業、ストックホルム大学スウェーデン語科修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chie
16
主人公イザベルの、手当たり次第繰り広げられいく思索に辟易気味になるけれど、エディンバラの古風さをとっぷりと味わう。「日曜哲学クラブ」は一度も開かれたことがないという著者の仕掛けは、宮沢賢治の「注文の多い料理店」的な面白さはあると思う。「日曜哲学クラブ」が一度も開かれたことがないのは、開催日が日曜だからという理由だけではなさそうな気はするのだけれど。2019/04/26
galoisbaobab
15
エディンバラの古風でこじんまりとした街の雰囲気の中で”出会ってしまった”事件に哲学的思考で解決・・・ってストーリーではないです。イギリス行きたい度が高まっているタイミングで読んだのでエディンバラ行ってみたい!と思ってしまう程度に楽しめます。(イギリスに行きたい人ならば・・・)2017/05/07
ごへいもち
15
う~ん、イマイチ。ストーリーに関係もなく憧れのスコットランドにも関係のない哲学?倫理学?衒学的な部分は飛ばし読み。それでも魅力に乏しくて読むのに時間がかかった。装丁はおしゃれなのがずるい。タイトルになっているクラブのメンバーなどは全く登場しないのはシリーズ化したいからなのか。ラモツエでつまらなくなったのにまた手を出してしまうのはなぜ?また続編を読んでしまうのかも2011/07/24
冬見
14
天井桟敷から墜落死した青年の謎を追う女性哲学者の寄り道だらけの冒険譚。◆タイトルから「日曜哲学クラブ」なる集団が出てきて探偵遊戯をするのかと思いきや、探偵役は父の遺した莫大な財産により裕福な生活を営む女性哲学者。事件を追う理由も正義感というよりも好奇心の側面が強く、哲学的思考の時間もたっぷりで、スコレー的。ミステリというくくりで売り出されているが、ミステリ要素は薄く謎解きもあっさり。主は"寄り道=哲学"部分にある。いや、この事件を追うことこそが彼女の人生に於いて"寄り道"だったのかもしれない。2021/04/08
猫丸
9
読友さん経由。創元推理文庫だし、人は死んでいるのだから、ミステリとカテゴライズしても構わないけれど、全体の印象はずいぶん違う。ヘンな本だが、応用倫理学の一般啓蒙書と思えばよいのかも。哲学ではなくて倫理学。主人公は40代インテリ女子。いろいろな状況で自分がいかに行動すべきなのか考える。つとめて偏りなく、と心がけつつも、生きてきた歴史から生じる個人的価値観の噴出は避けられない。知性、趣味、資産、余暇を持ち、しかも結婚は解消済み。これだけ理想的状況なのに「小さな幸せ」を大衆と共有しようだなんて見当違いだ。2021/10/17