出版社内容情報
捕虜収容所のなかに向かって這い進んでいたうえ、射殺されていた脱走兵の死体。新聞記者ドライデンは謎めいた殺害状況の真相を調べ始めるが。現代英国本格ミステリの精華。
内容説明
かつて捕虜収容所だった発掘現場で奇妙な骸骨が発見された。その男は脱出用と思われるトンネルを収容所に向かって這い進んでいたうえ、額を拳銃で打ち抜かれていたのだ。脱走兵にしては謎めいた殺害状況に、新聞記者ドライデンは調査を開始する。だが数日後、同じ現場で新たな死体を発見し…。過去と現在を繋ぐ謎の連鎖と緻密に張られた伏線が魅せる、英国本格ミステリの精華。
著者等紹介
ケリー,ジム[ケリー,ジム] [Kelly,Jim]
2003年に新聞記者としての経験を生かして執筆した『水時計』でデビュー。同書は「2010本格ミステリ・ベスト10」(原書房)で第4位に輝く。2作目『火焔の鎖』は「2013本格ミステリ・ベスト10」第3位。英国推理作家協会(CWA)の図書館賞を受賞。黄金期の探偵小説を彷彿させる謎解きミステリを執筆している
玉木亨[タマキトオル]
1962年東京都生まれ。慶應大学経済学部卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハスゴン
28
英国らしい謎ときでした。2017/07/17
yumiko
15
かつて捕虜収容所だった遺跡発掘現場で、額を撃ち抜かれた奇妙な骸骨がみつかる。その遺体は、脱走用に作られたであろうトンネルをなぜか収容所に向かって進んでいた… 提示される謎がすこぶる魅力的で、400頁を超える長さも苦にならずにグイグイ読み進められた。 シリーズ三作目で、キャラクターの造形がしっかりしていることも面白さの一つの大きな理由。 読み返してみて分かる、細かく張られた伏線も見事。 それにしても今作は、閉所恐怖症気味な人は読んでいて息苦しくなってしまうかも…かくいう私はそうでした(^^;;2014/07/02
ののまる
14
第二次世界大戦中のイギリスのイタリア人戦争捕虜収容所という設定が初めて。犯人とかいろんな事情は途中からわかっちゃうけど、出てくる人々の人生が味わい深い。2018/08/09
はる
9
図書館本。「水時計」を読んだのはいつだったろう、暗く深く重かったことしか憶えていなくてごめんなさい…(2009年に出た本だった)続編だったのか、でも細かい設定は深く沈んだままの霧の中。「大脱走」みたいなトンネルって危険なく掘れるものなのだろうか?グレーハウンドのブーディッカがいい子!ああ、溺れるのも生き埋めもイヤだが地下埋蔵物はちょっと憧れる。(2作目を探して来なくては)2018/04/21
飛鳥栄司@がんサバイバー
7
過去と現代の事件を結びつける構成は、「水時計」「火焔の鎖」と同じ。前作の「火焔の鎖」ではいろんな事件が散乱してしまって読みにくい印象を受けたが、本作では終始地下トンネルでの殺人事件を追っており集中して読めた。人間関係を複雑に見せようとしているが、ちょっと取材しただけで人物の裏が見えてしまう所は少し性急さを感じた。終わってみれば単純な構造だったからこそ、その部分を工夫してミステリとしての読みどころとしてほしかった。 ドライデン周辺の人物に進展があったし、残りの2作も翻訳されることを期待する。2014/06/14