内容説明
河上肇、田口鼎軒、徳富蘇峰らを軸にしながら日本における資本主義と市民社会の成立を論じ、名作『夕鶴』を通して日本人の意識の根底を探る―西洋経済思想史研究者でありながら、日本の思想史的展開の過程に深い興味を示してきた内田義彦の日本論。地域の単なる特殊性にとどまらず、普遍性をもふくめた真の「特殊性」を追求する、奥の深い議論が展開される。
目次
1 『夕鶴』の思想(『夕鶴』の世界―対談・森有正;『夕鶴』をめぐって―対談・木下順二)
2 日本をみる眼、世界をみる眼(ユートピア物語としての『三酔人経綸問答』―中江兆民を読む;憂と献身―森鴎外をめぐって;明治の巨人―鼎軒・蘇峰・河上)
3 河上肇と私(尊農論の河上肇;ある日の講話―河上肇への一つの入り口;河上肇と私)
付論・日本資本主義を考える―「資本主義論争」ノート
著者等紹介
内田義彦[ウチダヨシヒコ]
1913年2月、愛知県名古屋市生まれ。経済学者。東京帝国大学を卒業し、1946年から83年まで専修大学で教鞭をとる。1989年3月、死去
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