内容説明
その日までルイーズは平和な毎日を送っていた。やさしい夫、まだ反抗期に手の届かない上の娘たち、そして、夜泣きの虫を発揮してはルイーズをあたふたさせる生後七カ月の息子。だが、あの謎の間借人が現れた日を境に、べては一変した…。研ぎすまされた感性と絶妙のユーモアが生み出す、たぐいまれなサスペンス。アメリカ探偵作家クラブ最優秀賞に輝く傑作、遂に登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hit4papa
53
子育てに追われる主婦に迫る悪意を描いた作品です。主婦のありふれた日常をサスペンスに仕立てていますが、ハラハラドキドキを感じることはありません。エスピオナージや殺人事件を扱ったミステリが目立つエドガー賞受賞作の中においては、本作品はとても地味です。ざっくりいうと、日々に疲れ果て、子育てを放棄したいと思い悩む主婦が、一つの事件から気付きを得るという物語です。Noと言えない女性のテンパリ具合が実にリアル。子育てが大変な主婦は、皆で応援してあげようね!っていう教訓でしょうか(違うか・・・違うな)。【エドガー賞】2020/04/09
メイ&まー
15
いわばごく普通の家庭に起こるサスペンス。決まって夜中に泣きわめく赤ん坊、一度に両方からきゃあきゃあとわめきたてるお転婆二人、無神経な夫、、それに周りのゴシップ好きのおばはん、神経過敏のうるさ方婦人、自分の子供の世話を押し付けようとするママ友・・・これって普通の環境?恐ろしいことに普通と言えば普通にありえる状況かも。。そこに現れる間借り人の女性が連れてくるサスペンス。この表紙もなんか怖いんだけど、日常のなかではぐくまれていく狂気とかそういう怖さ。うん、でも何が怖いかってこの奥さんの置かれてる状況が怖い。。2014/12/30
秋良
8
子育ての大変さとママ友との付き合い方が、この本が出た時代からそう変わってないことが一番恐ろしい。2018/07/21
Gen Kato
6
ページ繰る指が止まらないほどの面白さ。謎の下宿人ヴェラの不気味さを、赤ん坊の夜泣きで睡眠不足のルイーズの視点から描き出したのが絶妙にうまい。そしてなにより書かれたのは60年も前なのに、子育てするお母さんのつらさや気兼ねは変わっていないんだなあと。理解ある旦那さんもずいぶん増えたとは思うけれど、マークみたいな旦那もまだまだ多いだろうし、なにより「隣人」の視線の冷たさはそれぞれの権利の主張が強まったぶん昔よりきつくなったんじゃないだろうか。2017/09/19
shiaruvy
0
★コメント再読後に [1992.03.27 初版]
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