内容説明
その夏はいつになく好天が続いた。だが、そんな平和を断ち切るように、緑濃い谷間の一画で他殺体が発見される。被害者は仕事一途な、根っからの学究。誰からも好かれ、激しい怨みを買っていた気配は微塵もない。困惑したバンクス首席警部は、関係者の多くが集い、そして散っていった十年前のある夏の記憶に目を向けた…。切ない民謡の調べが心に迫る、現代英国ミステリ第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おくちゃん
10
ピーター・ロビンスンの2冊目。原題a dedicated man。誰が何故、dedicated man なのか?結末読んで納得。派手ではないが好きになったシリーズです。2021/07/22
bapaksejahtera
7
バンクス首席警部シリーズの第2作目。田園広がるヨークシャーで隠遁した元大学教授、誰からも好かれる中年男性の惨殺死体が発見される。バンクスは捜査に赴くが田舎の複雑な人間関係の霧の中で、主人公の捜査には様々な反発を生じ真相には中々到達しない。犯人は意外な人物であった。読者へのヒントは確かにあるのだが、著者の描写は直接は関係のない登場人物の心象に戯らに入り込み、読むのに煩わしい。最後に主人公によって洪水如く語られる事件の真相からは、小説のリズム感の悪さを感じた。無駄な犠牲者も出て本作は佳作とは感じられなかった。2021/09/13
造理
3
★★★☆☆ とある村で学者が殺されたが、周りの評判は良く動機が不明なまま様々な容疑者が登場。バンクス警部が過去の人間関係から事件を解決していきます。登場人物が上手くかき分けられており飽きずに読めました。ミステリ的にはどうってことないですが(笑)地味な割には結構楽しく読めた不思議な本。2017/04/06
えっこ
1
アラン・バンクスシリーズ2作目。なんてフェアな推理小説だろう。ちゃんとヒントは出ていた。野暮ったいと表現された教授夫人を同僚は美しい人だったと言っていた。誰も嘘はついていない。牧歌的な雰囲気が退屈で恐怖とすら感じてしまったことから生まれた悲劇と殺意なんだね。2020/03/10
卓ちゃん
0
バンクスシリーズ2冊目を読む。ちょっとレトロな感じだが、イギリス田園風景が目に浮かび登場人物が魅力的で面白かった。展開のスローで急がない感じが良い。さすがクリスティの国奥が深い。また読みたくなる癖になる作家だ。2013/04/23